(イラスト・アニメーション:岸本ムサシ)
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今回の回答者: 鈴木 太成 NTT西日本 ネットワーク部 アクセス設備部門 アクセスライン担当 主査 古城 祥一 NTT西日本 ネットワーク部 アクセス設備部門 アクセス企画担当 主査 |
家庭にFTTH(fiber to the home)サービスを提供するときは,局舎から最寄りの電柱まで延ばした光ファイバを宅内に引き込むのが一般的です。プロバイダや事業者によっては,Webサイトなどに「家の近くに電柱がないとFTTHを引けない場合がある」と書いているところもあるようです。ですから,電柱がないとFTTHを引けないと思っている人は多いかもしれません。
実際には電柱がなくても地下の設備を利用してFTTHを引くことは可能です。地下には,光ファイバ・ケーブルなどを通す「とう道」やとう道から枝分かれする「管路」と呼ばれる設備があります。一般的に集合住宅などの大きな建物は,その地下設備からマンホールを介して光ケーブルを引き込みます。中・小規模の建物なら,作業員の手が入る程度の大きさの「ハンドホール」や指が入る程度の「フィンガーホール」と呼ばれる穴から引き込んだりします。
最近は景観保護を理由に電柱をたてていない地域が増えています。こうした地域では地下から光ファイバを引き込むことがよくあります。
ただ,電柱やマンホールがあっても,FTTHを引けない場合もあります。
一つは,FTTHを引き込む元となる光ファイバ・ケーブルがその地域まで来ていないケースです。
もう一つは,マンションなど建物内の設備状況により,光ケーブルを物理的に宅内に引き込めないケースです。ただし,近くの電柱やマンホールまで光ファイバが来ていれば,電柱などとユーザー宅のベランダなどにアンテナを設置し,無線を使ってFTTHと同等のブロードバンド・サービスを提供できます。
つまり,FTTHや同等のサービスを利用できるかどうかは,電柱の有無よりも地域ごとの対応状況に依存すると言えます。