小規模企業のコンピューティングが直面する問題で一番多いのは,不正なアプリケーションのダウンロードとインストール,システム構成の変更,および正当な権限なく共有コンピュータのカスタマイズ,変更,または再構成を行おうとするユーザーの存在だ。Windows XPを構成して,ユーザーが必要とする機能にのみアクセスできるように制限することは,素人にできる作業ではない。専門のITスタッフが存在しない場合,小規模企業では単純にすべてのユーザーにコンピュータに対する管理権限を与えてしまう傾向があるが,これではいつまでたっても問題が発生し続けることになる。

 Microsoftは,ITの専門家が存在しない組織を対象として,この問題を解決するソリューション「Windows Steady State」の提供を開始した。Windows Steady StateはWindows XPアプリケーションの一つとして動作し,コンピュータを構成して,ロックダウン構成のユーザーアカウントを複数作成することができる。

 Windows Steady Stateは,主にユーザーアカウントを制限する手順を簡易化するものであり,Windows XPの既存の機能を利用している。Windows Steady Stateに追加された機能の一つ,Windows Disk Protectionは,ポリシーや手続きが忠実に守られない場合に,コンピュータの他のユーザー,あるいは自分自身が引き起こす潜在的な問題の発生を防ぐことができる。

 Windows Disk Protectionは,OSやプログラム・ファイルに対する変更を保存するキャッシュ・ファイルを作成する。これによって,問題のあるソフトウエアのインストールやプログラムのアップグレードをロールバックできる。システムに問題が取り込まれてしまった場合,強力システム復元(System Restore-on-steroids)ソリューションとでも言うべき方法で,システムをより安定した状態に復元することができる。

 Windows Disk Protectionはデフォルトでは無効になっているので,Windows Steady Stateをインストールした後に有効にする必要がある。この機能の事実上唯一の欠点は,キャッシュ・ファイルのサイズがハードディスクの最大50%に達するという点だ。ただし,最大でも40GBあれば十分なので,数百GBのハードドライブが標準装備されていれば,ほとんどのシステムでディスク消費が問題になることはないはずだ。

 さらに,OSに対する変更をすべて保持するレベルから,起動時にすべての変更を削除するレベルまで,ディスク保護レベルをカスタマイズできる。前者は最高レベルのディスク保護を実現し,必要なディスク容量も最大になる。後者はシステム再起動時にキャッシュをクリアしてキャッシュが満杯になるのを回避するが,保護レベルは最低である。変更を一定期間保持するように構成できるだけでなく,その期間を構成することもできる。保持期間は必要に応じて変更することができ,プロジェクトの長さに合わせて設定したり,環境に適した長さを指定できる。