デジタルARENAより転載)

 番号ポータビリティ(MNP)の開始以降、携帯電話各社が投入する端末は飛躍的に増加し、新しいサービスも次々と生まれてきた。だが、あまり手がつけられていない施策が唯一存在した。それが「料金」だ。

 携帯電話の基本料・通話料に関しては、確かに3番手であるソフトバンクが、スーパーボーナス、ホワイトプランといった施策を次々と打ち出している。だが、NTTドコモとKDDIの2社は、これまで料金に関して積極的に動く姿勢を見せなかった。しかし唯一料金施策を行ったソフトバンクが、5、6、7月と3カ月連続で純増シェアトップを記録するなど好調であることから、他の2社も料金施策に本腰を入れ始めたようだ。

 6月から7月にかけて各社から次々と打ち出された料金施策だが、これによってどんなときにお得になるのか、契約形態はどうなるのか、ソフトバンクのホワイトプランと比べるとどうなのかなど、何かと気になっている人も多いはず。そこで、今回は、ここ最近発表された各キャリアの料金施策をじっくり検証していくことにしよう。

結局、どんな料金施策が行われたのか?

 およそ1カ月の間に、携帯電話3社が次々と料金施策を打ち出してきたことから、混乱して内容をよく把握していないという人も少なくないと思う。そこで、検証の前に、改めて各社の料金施策を整理しておこう。

 最初に施策を打ち出したのは、最近、純増シェアで伸び悩んでいるNTTドコモだ。同社が6月26日に打ち出したのは「ファミ割MAX」「ひとりでも割引」の2つ。前者はファミリー割引の契約者向けの施策で、全員の継続利用期間による割引率を、ファミリー割引を契約した同一グループの中で最も契約期間の長い人(ただし2年以上に限る)に合わせるというもの。後者は、「ファミリー割引」+「(新)いちねん割引」と同等以上の割引を、1人でも受けられるというもので、auの「MY割」への対抗策と言えるものだ。なお、いずれも2年間の継続契約が必須となっている。

 続いて、KDDIが7月19日に「誰でも割」を9月1日から開始すると発表した。これはMY割の後継と言えるサービスで、2年間の継続契約を条件に、1人で「年割」+「家族割」の最大の割引率を受けることができるというもの。従来のMY割では、WINの新規契約と同時に適用すると「家族割」+「年割(1年目)」と同等の割引を受けることができたが、誰でも割では「家族割」+「年割(10年超)」の割引をいきなり受けることができ、プランによっては基本料が実質半額になってしまうというわけだ。なお、現在MY割を契約しているユーザーは、9月から誰でも割が自動的に適用されるという。

●KDDIのMY割と誰でも割の割引率の比較
継続利
用年数
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 10年超
My割の
割引率
36.5% 38% 39.5% 41% 42.5% 44% 45.5% 47% 48% 49% 50%
誰でも
割の
割引率
一律50%

 さらにKDDIの発表直後の7月27日、NTTドコモはまだ開始されていない「ファミ割MAX」「ひとりでも割引」を改変するという、対抗策を打ち出してきたのである。前者は「ファミ割MAX50」へと名称変更して、割引率を全員一律50%へと変更。全員が契約初年度の場合も割引を受けることができるようになった。また後者も「ひとりでも割50」となり、割引率が一律「ファミリー割引」+「(新)いちねん割引(10年超)」(つまり50%)へと変更されたのだ。ちなみに両サービスとも開始は9月1日からで、2年間の継続契約が必要な点は変わっていない。

●NTTドコモの割引施策変更前・変更後の割引率の比較
継続利用
年数
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 10年超
ファミ割MAX
の割引率
37% 39% 41% 43% 45% 46% 47% 48% 49% 50%
ひとりでも割引
の割引率
37% 38% 40% 41% 43% 45% 46% 47% 48% 49% 50%
ファミ割MAX50
・ひとりでも割50
の割引率
一律50%

 一方、ソフトバンクはNTTドコモ・KDDI両者の料金施策変更から24時間以内に対抗策を打ち出す方針であることから、ブルー・オレンジ両プランに対して、それぞれ対抗の割引サービスを打ち出している。ブループランには「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」の対抗策として「家族割引MAX50」「自分割引50」を、オレンジプランには「誰でも割」の対抗策として「新・自分割引」をそれぞれ投入している。なお開始日も他の2社と同様、9月1日となっている。