ジャンル:ツール 作者:白井 隆氏
ライセンス:独自
URL:http://hp.vector.co.jp/authors/VA012337/

FDcloneは,昔懐かしいMS-DOSのファイラーとして有名な「FD」のクローン(互換)・ソフトである。マウスを使わず,カーソル・キーとショートカット・キーだけで,ファイルやディレクトリを素早く操作できる。

 FDcloneは,MS-DOS時代に一世風びしたファイラー「FD」のクローン(互換)・ソフトである(写真1)。ファイラーは,ファイルやディレクトリを管理できるツールのこと。ファイルやディレクトリのコピーや削除,リネームといったファイル/ディレクトリ操作全般を行える。Windowsプラットフォームで標準装備されている「エクスプローラ」も,ファイラーの1つである。

写真1●FDcloneの起動画面
写真1●FDcloneの起動画面
色分け表示するように設定した後のもの。
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 FDのすごさは,CUI環境のMS-DOSでは当たり前だった,コマンド処理によるファイル操作をビジュアル化したこと。コマンドを入力しなくても,キーボードのカーソル・キーとショートカット・キーだけで各種操作が行える。当時,FD以外にもファイラーは数多く存在したが,出射 厚氏が開発したFDは操作性の良さで抜きん出ていた。

 FDcloneは,白井 隆氏によって,FDを模して開発されたファイラーである。「仕様部分に関しては,できるだけオリジナルのFDに近付けるよう」(作者のWebページより)に開発されているが,実装部分はオリジナルで,漢字コードのコンバート,キー・マップ変更機能,文字列入力時のファイル名補完など,オリジナルのFDにはなかった機能が追加されている。

 単にノスタルジーを誘うだけではなく,FDcloneは独自のツールとして進化し続けている。キーボード操作がメインのユーザーにとっては,非常に有用なツールだ。

FDcloneのインストール方法

 FDcloneは,Linuxディストリビューション向けのパッケージ形式では配布されていない。そのため,ソース・アーカイブからコンパイルする必要がある。まずは,FDcloneのソース・アーカイブを公式サイトから入手する。2006年7月中旬時点の最新バージョンは2.08で,ファイル名は「FD-2.08d.tar.gz」である。以下は,wgetコマンドを使って,インターネット経由でダウンロードする方法だ。ただし,2007年9月3日時点での最新版は,「FD-2.09d.tar.gz」だったので,URL等の「2.08d」を「2.09d」に変更して実行してほしい。


$ wget http://hp.vector.co.jp/authors/VA012337/soft/fd/FD-2.08d.tar.gz 

 入手したアーカイブ・ファイルを展開し,ディレクトリを移動する。


$ tar zxvf FD-2.08d.tar.gz
$ cd FD-2.08d  

 コンパイルする前に,環境に応じて,ヘッダー・ファイルの「machine.h」や「fd.h」を編集する。通常は,修正せずにそのままでOKだ。ここで,makeコマンドを実行する。


$ make  

 うまくコンパイルができたら,プログラム・ファイル「fd」を実行してみよう。


$ ./fd  

 写真2のようなファイルやディレクトリの一覧が表示されれば,コンパイルは成功だ。確認できたら,Escまたはqキーを押した後に,yキーを押していったん終了する。

写真2●FDcloneの初期起動画面
写真2●FDcloneの初期起動画面
デフォルトではカラー表示されないので,設定ファイルを変更して写真1のように色分け表示させよう。
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 次は,インストールする前に「Makefile.in」ファイルを開き,インストール・ディレクトリを編集する。例えば日本語のmanページは,「/usr/local/ja_JP.UTF-8/man1」のように,LANG環境変数の設定に沿ったディレクトリにインストールされるようになっている。環境に応じて,MANDIRやCATDIRを修正しよう。

 また,インストール前に設定ファイル「fdrc」をソース・ディレクトリに用意しておくと,システム共通の設定ファイルを,/etc/fd2rcとしてインストールできる。設定例として「_fdrc」が用意されているので,「fdrc」にリネームして設定変更するとよいだろう。

 準備が終わったら,次のコマンドを実行してインストールする。


$ su 
# make install

FDcloneの基本設定