LANを構築する際のネットワーク機器において,通信モードの「自動識別」と「全二重固定」が混在すると,「うまく通信できなかったり,通信速度が遅くなったりというトラブルが生じる」(ネットワーク構築を多く手がけてきたアルファシステムズ 技術推進部 第一システム研究課 岸哲郎氏)。自動識別モードの機器同士であれば,FLP(Fast Link Pulse)バーストという識別信号を送り合い,両者が選択できる最速の通信方式を選択しようとする()。ところが全二重固定モードの機器は,FLPバーストに応答しない。リンク中を示す信号を送るだけで,この信号を受け取った自動識別モードの機器は相手が全二重か半二重かの区別ができない。イーサネットの仕様では,全二重/半二重の区別がつかない場合は半二重で送ることになっているのでトラブルになる。

図●通信モードの「自動識別」と「全二重固定」が混在した場合の動き
図●通信モードの「自動識別」と「全二重固定」が混在した場合の動き
通信速度が遅い,通信に失敗するなどのトラブルが起きる。自動識別の仕様上,全二重か半二重か分からないときは半二重を選択するためだ
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