クレディセゾンのCIOである栂野恭輔・取締役兼システム本部長

 2007年3月期に24期連続で増収増益を達成したクレディセゾンのCIO(最高情報責任者)である栂野恭輔・取締役兼システム本部長(45)は、約50人の情報システム部員を率いている。2005年4月には約50億円を投じて新しい顧客管理システムを稼働させ、業績の拡大やパートナー企業との業務提携に貢献した。

 その栂野取締役は「クレジットカード会社にとって、情報システムは金融商品そのものである」と語る。というのも、クレジットカード会社の商品やサービスは、すべて情報システムによって作られるからだ。大量の決済・与信データを処理するのも、もちろんシステムである。

 そのため、栂野取締役は情報システム部門を、メーカーでいうところの商品開発部門や生産部門に置き換えて考えている。商品を開発する着想となるアイデアは営業部門が持ってきたとしても、そのアイデアを形にするのは情報システム部門の役割だからである。

 だからこそ、栂野取締役は「情報システム部門は常に議論の中心にいなければならない」と主張する。クレディセゾンの情報システム部門が日ごろ考えていることは、システムではなく、「ビジネスをどう作るか」なのだ。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・IT(情報技術)に詳しい経営トップは少ないので、本質的な要点を理解していただくように努めています。情報が偏らないように心がけながらも、自分の意見をはっきりと言うようにしています。

・実務面は任されていることが多いので、しっかりした一貫性のある考えを持つことが大切だと思います。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
 当社にとっての優先順位や重要事項と、ITベンダーにとってのそれが違う場合が多いです。せっかくご提案いただくなら、我々の立場に沿った提案をいただけると助かります。ITベンダーとのコミュニケーションは十分にしていると思っています。

 ベンダー各社が持つ製品の良さとSI(システムインテグレート)能力は必ずしも一致しないので、製品の情報公開がもっと進めば、利用企業は製品とSIを別々に選択できるので助かります。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
 いつも、最後のページ(連載小説)から読みます。
・NIKKEI NET
 堺屋太一が描く壮大なる英雄叙事詩「世界を創った男、チンギス・ハン」も見ています。

◆最近読んだ本、お勧めの本
・本はあまり読みませんが、堺屋太一氏の『組織の盛衰』(PHP研究所)を読み直してみようかと思っています。

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・雑誌などで見かけたサイトを適当に見ています。

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・クレジットカード関係のユーザー会や研究会など。直接担当者と会って話しができるので、情報交換に役立っています。

◆ストレス解消法
・あまりストレスを感じたことがありません。気の合う仲間とお酒を飲んだり、カラオケで歌ったりして、十分に回復しているようです。