Lesson3のテーマはブロードキャストとサブネット・マスク(ネット・マスク)。ブロードキャストはLesson1とLesson2でも登場しているが,それらは別のアドレスだ。まずはその違いから見ていこう。

ブロードキャストは2種類ある

 ブロードキャストは,ホストのMACアドレスを調べる通信(ARP)などで頻繁に使われている。ブロードキャスト・アドレスは2種類あり,それぞれネットワーク部の値が異なる。

 一つはネットワーク部のビットもすべて1である255.255.255.255というリミテッド・ブロードキャスト・アドレス(Lesson1で登場)。もう一つが192.168.1.255など,ネットワーク・アドレスを指定するディレクテッド・ブロードキャスト・アドレス(Lesson2で登場)である。

 この二つは使う場面が異なる。一般的にはディレクテッド・ブロードキャストを使うが,ネットワークに接続したばかりでネットワーク・アドレスがわからない状況などの特別な状況ではリミテッド・ブロードキャスト・アドレスが使われる(図3-1)。

図3-1●リミテッド・ブロードキャストとディレクテッド・ブロードキャスト
図3-1●リミテッド・ブロードキャストとディレクテッド・ブロードキャスト
ネットワークに接続したばかりで自分のネットワーク・アドレスがわからない場合は255.255.255.255というリミテッド・ブロードキャスト・アドレスを用いる。ネットワーク・アドレスがわかる場合は,原則としてネットワークを指定してブロードキャストする。

サブネットでネットワークを分割

 次にIPアドレスとセットで表記されているサブネット・マスクと,サブネット化を見ていこう。

 サブネット・マスクはLesson2で紹介したIPアドレスの「ネットワーク部」の長さを示す数値だ。IPアドレスと,そのアドレスのサブネット・マスクがわかると,ネットワーク・アドレスを導き出せる(図3-2)。同じIPアドレスでも,サブネット・マスクが異なるとまったく違うネットワーク・アドレスになる。

図3-2●ネットワーク・アドレスの計算方法とサブネット化(ネットワークの分割)の例
図3-2●ネットワーク・アドレスの計算方法とサブネット化(ネットワークの分割)の例
IPアドレスとサブネット・マスクの各ビットの論理積を計算するとネットワーク・アドレスが算出できる。ホスト部のビットをネットワーク部に用いるとサブネットを作成できる。[画像のクリックで拡大表示]

 また,ホスト部の一部をネットワーク部として割り当て,延ばした分のビットをネットワーク・アドレスとして使うこともできる。このようなホスト部のビットを使って作るネットワークをサブネットという。サブネット化は,ネットワークの数とホストの数の適正化を図るために欠かせない技術である。