●収益力ランキング(1位~30位) 黒文字の社名は連結決算の企業,青文字の社名は単独決算のみの企業 [画像のクリックで拡大表示] |
収益力が向上した背景にあるのは、需給ひっ迫によるエンジニア単価の上昇と、不採算案件の減少などによるコスト削減である。今期の受注単価の上昇率は、前年比2~5%だったと見られる。
不採算案件が減ったのは、ITベンダー各社が案件の採算性を評価する制度を導入したり、プロジェクトマネジメントの強化に力を入れたりした成果が出ているためだが、それだけではない。好況によりITベンダーが「選別受注」しやすい状況にあったのも一因のようだ。JPモルガン証券の佐藤博子シニアアナリストは、「ITベンダーはリスクの高いプロジェクトにわざわざ手を出さなくとも仕事が潤沢にあるので、自分たちが得意とする分野の案件に専念できている」と指摘する。
金融特需でNSDは18%越え
収益力ランキング上位の顔ぶれは前回と大きく変わらない。首位は、中堅・中小企業向けERPパッケージを手掛けるオービックだ。
営業利益率は28.1%で昨年に比べ0.6ポイント上昇。収益力ランキングでは8年連続1位を達成した。オービックは収益力向上のため、「売り上げの平準化」を推進した成果が出た格好だ。
平準化の狙いは、案件の期末集中化による採算性・収益性の悪化を回避することにある。案件が期末に集中すると、エンジニアの残業代や外注費がかさみやすい。それを未然に防ぐため、システム開発案件の納期を分散させるよう、ユーザー企業に対して提案営業を展開した。それにより同社の2006年度第1四半期(4~6月)の売上高は104億円(2005年度同期88億円)、第2四半期が121億円(同134億円)、第3四半期は107億円(同94億円)、同第4四半期は126億円(同141億円)となり、四半期ごとの平準化が大きく進んだ。
第2位は前回4位の日本システムディベロップメント(NSD)。同社の強みは、大手の金融ユーザー企業と長年深く付き合ってきたこと。それにより今期は、積極的な営業活動をしなくても、既存顧客からの受注量が増加した。
販売管理費を抑えたまま、エンジニアの単価を前年に比べ5%上げることができたという。NSDは“金融特需”の恩恵を最大限に受けた1社である。
NTTデータが73位から30位にアップ
NTTデータの収益力も目を引く。今回の収益力は8.6%で30位。前回の73位から大きく順位を上げた。同社が2010年3月期の経営目標として掲げている「営業利益率10%」の達成も現実味を帯びてきた。同社の収益性向上には、販売管理費の抑制が大きく利いている。社内システムの整備による運用費の削減や、管理部門における業務改善、首都圏に分散する21拠点のオフィスの集約などで、販管費を前年に比べ98億円圧縮した。
NTTデータとは逆に、大きく順位を下げたのがジャステックである。収益力上位の“常連”で前回は6位だったのが、今回は17位。一部の大型案件で見積もりミスが発生し、それに伴う費用の増加があったためとしている。
さらに今回の収益力ランキングでは、売上高100億円台の中堅企業の健闘も光る。病院・薬局向けシステムに強みを持つイーエムシステムズと、従業員数653人のSIerである東計電算がトップ5に食い込んだ。
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