携帯電話の端末は,日本中あるいは世界中どこに行くかわかりません。それでも,ダイヤルするとすぐに相手の居場所を見つけ出して,電話をつなぎます。ところが携帯電話会社は,端末の居場所をピンポイントで知っているわけではないのです。では,どうやって携帯電話会社は,ダイヤルした電話番号の携帯端末の居場所を見つけるのでしょうか?

 まず,携帯電話ネットワークでは,端末の大まかな居場所を「ホームメモリー」と呼ぶ装置に登録しておきます。大まかな居場所というのは,「位置登録エリア」と呼ぶ大きなエリアです。位置登録エリアの数や大きさは携帯電話会社にもよって違いますが,NTTドコモの場合は全国で数十の位置登録エリアがあるそうです。県ごとに1~2くらいのイメージですね。つまり,携帯電話のネットワークは,「端末Aが位置登録エリア1にいる」という情報を持っているのです。

 携帯電話端末と通信するには,端末がいる無線基地局のエリア(セル)を突き止めなくてはいけません。ところが,一つの位置登録エリアには数百~数千の基地局があるので,位置登録エリアがわかったところで,すぐに通信を開始できません。

 そこで携帯電話では,位置登録エリア内の全無線基地局が一斉に端末を呼び出します。呼び出しを受けた端末が返事をすることによって,端末がどのセルにいるかがわかり,電話やメールをつなぐ処理ができるというわけです。

携帯電話はなぜつながるのか   紹介した内容については,書籍『携帯電話はなぜつながるのか』(日経BP社)で詳しく解説しています。ぜひ,そちらもご覧ください。