2006年の後半,セキュリティ・ソフト・ベンダーの米Metavizeは社名を米Untangleに変更し,新しいマーケティング戦略を開始した。従業員が10人以下の企業に対して,統合脅威管理ソリューション(UTM)を無料で提供し始めたのだ。そして6月,同社は従来月額75ドルで販売していた製品を,あらゆる組織に対して無償化したのだ。

 同社の創業者でCTOであるDirk Morris氏は,「今後,われわれの収益のベースとなるのは,サポートや追加アプリケーションなどの高度な製品群,商用ライセンスの下でプラットフォームを拡張する追加機能などだ。従って,プラットフォームと多くのアプリケーションは無料だが,われわれは,Remote Access Portal(SSL VPN)のようなアプリケーションのほか,Active Directoryへの統合や,ポリシーに基づく管理といった,追加的なプラットフォーム機能を販売している」と述べている。

 Untangleによる製品の無償化は,ネットワークを保護するためにきちんとしたゲートウエイ・セキュリティ・プラットフォームを導入していないときの言い訳が,完全になくなったことを意味している。ソフトウエアの購入に費用を全くかけずに,12種類の必須セキュリティ・ツールからなる統合プラットフォームを入手できるようになったからだ。

 Untangleのセキュリティ保護プラットフォームは,電子メールをフィルタリングすることで,スパムやスパイウエア,フィッシング詐欺,ウイルスといった攻撃を検出する上に,Webコンテンツのフィルタリングも行う。さらに,ファイアウオールや侵入防止システム(IPS),プロトコル制御,VPN,ルーティング,レポーティングなどの機能も備えている。

 これらのツールは,SnortやSpamAssassin,Vipul's Razor,Clam AntiVirus(ClamAV),OpenVPNといった定評のあるオープン・ソース・ソリューションをベースにしている。こういったオープン・ソースのセキュリティ・ツールを自分の力で見つけるのは簡単だが,Untangleはそれらをカスタマイズされた統合プラットフォームで提供しているのだ。これは,間違いなく大きな利点である。

 Untangleのサポートや,Active Directoryとの統合機能などを購入したい人のために言っておくと,価格は,サポートする必要のあるユーザー数を基に決定される。同社は,それらのツールを利用している他のユーザーとの交流を容易にするために,フォーラムとメーリング・リスト,wikiを設けている。Untangleはプリインストールされたサーバー・アプライアンスも提供しているので,興味のある人は試してみるといいだろう。全体的に見て,Untangleの製品はお買い得で魅力的だと筆者は思う。

 Untangleは,製品のデモやスクリーンショットをWebで公開しているので,興味のある方は見てみるといいだろう。デモを実行するにはJavaが必要で,デモが始まると,Untangleのネットワーク上で実際に稼働しているデモ・サーバーにログオンできる。従って,管理インターフェースをあらゆる側面から実際に体験して,同プラットフォームを使用する感覚を把握できるのだ。FlashビデオによるインターフェースのデモもWebで公開されている

 その他UntangleのWebサイトには,各アプリケーションの概要のほか,試用版も公開されている。試用版はISOイメージ・ファイルになっており,インストール用のCD-ROMが間単位作成できる。さらに,インストール可能なISOフォーマットのソース・コードは,tarballコマンドやSubversionコマンド経由で入手できる。その場合は,UntangleのWebサイトの左側の「Developers」ボックスの中から「Get the Code」という項目を探すといい。