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もうサーバーはいらない!?

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Part5 業務アプリ付きのインフラ・サービスも登場

 前回まで,サーバーの処理性能やストレージのディスク領域,ネットワークの通信帯域などをオンデマンド方式で提供するIT基盤サービスを見てきた。本連載の最終回では,こうしたサーバー・リソースのオンデマンド提供に加えて,業務アプリケーションを含めたシステム全体の運用・保守まで請け負うサービスを取り上げよう。いわば,業務アプリケーション付きのオンデマンド・サービスだ。

4段階でリソースを増減

 日本IBMが米国内のデータセンターを利用して提供する「アプリケーションズ・オンデマンド」は,独SAPのERPパッケージの利用を前提とした基幹系システム向けのリソース・オンデマンド・サービス。2007年5月にサービスを開始した。特徴は,システムの利用部門が増えたり,利用するモジュールを追加したりした場合に,処理性能やディスク容量を段階的に拡張できること(図6)。日本IBMの平手智行執行役員は「システム構築にかかるコストやスピードを重視する企業や,将来SAPモジュールの拡張を予定している企業に向いている」と説明する。

図6●IBMはオンデマンドにリソースを提供する基盤を使い,SAPの業務アプリケーションのアウトソーシング・サービスを提供する
図6●IBMはオンデマンドにリソースを提供する基盤を使い,SAPの業務アプリケーションのアウトソーシング・サービスを提供する

 アプリケーションズ・オンデマンドでは,提供するリソースの規模に応じて「XS」「S」「M」「L」という4段階のサービスがメニューとして用意されている。料金が最も安価な「XS」は,処理性能を1000SAPS(「SAPS」はSAPアプリケーションの処理性能の単位)まで,ハードディスク容量を150Gバイトまで利用できるが,性能や容量が不足してきたら,その上位のサービスである「S」や「M」に変更することが可能だ。最上位の「L」では,処理性能を1万SAPSまで,ディスク容量を650Gバイトまで拡張できる。ユーザー企業の要望があれば,オプションでそれ以上の追加も可能であるという。

 IBMは,米国内6カ所のデータセンターに,アプリケーションズ・オンデマンド向けのサーバーやネットワークなどの設備を用意するだけでなく,SAPアプリケーションの実行基盤である「SAP NetWeaver Application Server」の導入支援まで実施する。システム稼働後は,米国のデータセンターで稼働する基幹系システムを,インドにあるIBMのデリバリ・センターから遠隔操作で運用・保守を行う。

 SAP ERPなどのライセンス購入はユーザー企業が自分で行う必要があるが,ハードウエアの調達や設定作業はもちろん,運用体制の設計や要員の確保まで,IBMに任せることができる。これにより,ユーザー企業は業務分析やシステム設計,カスタマイズやアドオン開発などに注力できる。平手執行役員は「構築や運用にかかるコストを,最大で50%削減することも可能だ」という。なお,米国ではSAP製品だけでなく米オラクルのERP製品やCRM製品についてもアプリケーションズ・オンデマンドの対象としているが,日本で対応するかどうかは未定だ。

SaaS色濃いサービスも

 このほかにも,基幹系システムをターゲットにした,アプリケーション付きリソース・オンデマンド・サービスがいくつか登場している。例えば,ソフトバンクテレコムが06年1月からサービスを提供している「KeyPlat」は,Oralce Database10gやOracle Application Server10gの利用を前提としたホスティング・サービス。あらかじめ規定された処理性能(非公開)を超えた場合は,Oracle 10gが持つグリッド技術を使って,ほかのサーバーに負荷を分散する仕組みを提供するのが特徴である。

 日本オラクルも07年2月から,ERPパッケージ「Oracle E−Business Suite」を前提に,日本国内でリソース・オンデマンド・サービス「EBSO@Oracle」の提供を開始した。やはりグリッド技術を使って,リソースをオンデマンド方式で増減することができる。

 ソフトバンクテレコムとオラクルのサービスは,アプリケーションのライセンス料金も込みである点が,ITインフラに重きを置くIBMのサービスとは異なる。この点で両社のサービスは,「リソース・オンデマンドも可能なSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」と呼べるかもしれない。

(福田 崇男=ITpro)  [2007/08/03]

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