列車インターネットはどうつながっているの?

(イラスト・アニメーション:岸本ムサシ)

  今回の回答者:
小林 忠男
NTTブロードバンドプラットフォーム
社長

 東京・秋葉原と茨城県つくば市を結ぶ「つくばエクスプレス」では,走行中の列車内から無線LANを使ってインターネットに接続できます。私どもNTTブロードバンドプラットフォームがインテル,首都圏新都市鉄道と共同で設備を設置しました。2006年8月からNTTドコモの「Mzone」が,2006年11月にはNTT東日本の「フレッツ・スポット」が使えるようになっています。

 つくばエクスプレスの駅と駅との間には約500m間隔でIEEE802.11b/gの無線LANアクセス・ポイント(AP)を置いた中継局があります。インターネット接続用の光ファイバにつながっているのは駅のAPです。中継局のAPは駅のAPと25GHz帯の無線で接続されていて,駅のAP経由でインターネットに接続します。

 一方,列車には各車両にユーザー向けのAPを,先頭と最後尾の車両に外部接続用のAPを設置しています。ユーザーのパソコンは各車両のAPから外部接続用のAPを介して最寄りの駅や中継局のAPに接続します。

 駅に列車が停車しているときは,列車の前側のAPが駅のAPにつながります。

 列車が走り出すと駅と前側のAPはどんどん離れます。それに伴い,前のAPに届く無線LANの電波は弱まりますが,一定以上離れるとすばやく後ろのAPに切り替わって接続を維持します。

 さらに駅から離れると,後ろのAPに届く電波も弱まります。すると今度は前のAPが進行方向にある最寄りの中継局のAPに接続します。このように,列車の前側と後ろ側のAPが列車の進行に合わせて次々と接続するAPを切り替えることで,走行中も接続を維持するのです。

 ただし,これはつくばエクスプレスの場合です。時速200kmを超えるような高速の列車だとAPの切り替えが間に合いません。別の方法を検討することになります。