ガイドライン

 ガイドラインと聞くと、人によって捉えられ方はまちまちだが、どうも自由がなくなって、縛られてしまいそうなイメージを持つ方がおられるようだ。

 もし、このようなネガティブなイメージをお持ちであれば、改めていただきたい。

 ここでいうガイドラインは、ウェブサイトをどのように位置づけ、どのように構築、連携して運用するかなどの考え方をまとめたものと思っていただきたい。特に、事業規模が大きくなったり、多国籍、多地域になったりすると増々その必要性が増大する。

 このような状況にある企業や、小規模の企業でも大なり小なりガイドラインは必要だ。 サイトの構築を始める前にまずガイドラインありきであろう。

 例えば

*ウェブサイトガイドライン
*ドメインガイドライン
*デザインガイドライン
*個人情報ガイドライン
*セキュリティーガイドライン
*制作ガイドライン
*顧客対応ガイドライン
*CIガイドライン

 など、ネット上で活動するために必要な最低限のルールをまとめ、ウェブに従事するスタッフはこれらの考え方を理解して運用すべきであろう。

 それは、最終的には顧客への姿勢や企業やブランドイメージそのものに大きな影響を与えるからである。

誰が発行するのか?

 これもいろんな考え方があるが、普通は、会社の経営層(担当役員や社長、CEOなど)が発行すべきだろう。会社の規則とし、罰則規定などがある社員の規則として位置づけられてもおかしくない次元のものだからだ。

 ネット上のコミュニケーション活動はもはや、我々自身も含めて、多くの顧客が参照するメディアとして1~2位を占める大変インパクトのあるものになった。したがって、これを自社メディアとしてどう扱うのかを決めておかないと大変なことになるのは明白である。

 いかにすばらしいサイトを作ろうかと考える前に、どのように、我々はネット上で活動すべきかをまずガイドラインとしてまとめるべきであろう。

ビジネスは生き物

 ガイドラインは法律でも憲法でもない。企業の目的達成やゴールに向けて効率よくサポートあるいは推進していくものである。

 技術の進歩や各国の法律やルール、慣習は刻々と変化している。ガイドラインは、これらを睨みながら、コンプライアンスをキープして、最大効果を出すために随時変更してもおかしくない。いや、変更していくべきものである。

 まともに取り組むと、常時ガイドラインのために仕事をしているスタッフがいてもいいくらいかもしれない。 発行、そして各地へ導入、説明、質問に答えるなどフォローアップの業務、さらには、それらルールが守られているかどうかの監査も適宜必要になってくる。

 サイトの数や規模にもよるが、この監査(Audit)は、定常業務となる場合が多い。

 Auditは、サイトの数が少ない場合は、一カ所で対応可能だが、多数になるとそれも困難になる場合が多い。このような場合は、各地域や各国に同等の権限を与え、ローカルでのAuditを実施するとよいだろう。

 もちろんそのための研修や教育は必要になってくるが、各地で自主的に機能しだすことを考えると効率的だろう。その際、すべての関係者が参照するものがこれらガイドラインとなる。

 グローバルで展開する会社では、少なくとも英語版の作成は必須であろう。IBMのように本社のAudit部隊が世界中の支社を回って監査するというケースもあるが、Auditの手法は各企業がどのようにWebに取り組んでいるかによって異なるため、適切だと思われるやりかたを考えればよいだろう。

 同じ企業で同じ目的のために展開するサイトであれば、少なくともそれらを運用、展開する考え方をそのスタッフは共有しておくべきだろう。

 円滑にビジネスを推進していくためのツールとして、ガイドラインを作成し活用される事を期待する。