ジャンル:3Dデスクトップ 作者:Project Looking Glass開発チーム
ライセンス:GPL
URL:https://lg3d.dev.java.net/

Project Looking GlassはJavaで開発された3Dデスクトップ環境だ。ウインドウを半透明にしたり,立体的に表示したりできる。奥行きを持たせたアプリケーションの開発も可能だ。対応アプリケーションも多数搭載している。

 Windows Vistaの登場時に話題となったのが「Aero」(エアロ)というデスクトップである。Aeroではデスクトップ上で,透過や3次元を用いたウインドウ表示を実現できる。例えば,ウインドウを半透明にする,開いているウインドウを紙をめくるようにパラパラと切り替える,といったことが可能だ。

 Linuxでも,Aeroのようなデスクトップ環境を実現できる。2006年には,いわゆる3Dデスクトップを実現するウインドウ・マネージャである「Compiz」や「Beryl(関連記事)」が登場した。いずれも,ウインドウを半透明にしたり,デスクトップ画面を箱のように回転させて切り替えたりできる。Compizを使った新しいデスクトップ環境は既に,Fedora Core,openSUSE,Ubuntu,Momonga Linuxなどの最新版に取り込まれている。

 こうした3Dデスクトップの先駆けが,米Sun Microsystems社の「Project Looking Glass」である(写真1)。2002年,Sunの社員だった川原 英哉氏が個人的に開発して発表したのがその原型である。2004年から,オープンソースとして開発されるようになった。2006年12月19日には,バージョン1.0が公開された。

写真1●3Dデスクトップの「Project Looking Glass」
写真1●3Dデスクトップの「Project Looking Glass」
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アプリケーションで奥行きを生かせる

 Project Looking Glassの最大の特徴は,デスクトップに奥行きがあることだ。前に説明したCompizやBerylでは,デスクトップやウインドウを回転させる以外に3次元効果はほとんどない。これに対してProject Looking Glassでは,デスクトップやウインドウを立体的に扱えると同時に,アプリケーション自体に3次元効果を与えられる。例えば,写真2写真3のように,デスクトップの奥行きを有効利用したアプリケーションを作成できる。

写真2●ミュージック・プレーヤの「trumplayer」
写真2●ミュージック・プレーヤの「trumplayer」
音楽のレーベルがCDケースのように縦に並んでいる。選択すると表紙面が表示される。

写真3●スケジューラの「CosmoSchedulerD」
写真3●スケジューラの「CosmoSchedulerD」
予定を惑星に見立てて表示する。また,関連するファイルは衛星として惑星の周りを周遊している。

 Project Looking Glassに対応したアプリケーションは,標準で多数用意されている。主なものを表1に示す。

表1●Project Looking Glassに搭載された主なアプリケーション
表1●Project Looking Glassに搭載された主なアプリケーション
アプリケーションの多くは開発途中であるため,正常に動作しない場合がある。 [画像のクリックで拡大表示]

Project Looking Glassの操作方法

 インストールの前に,Project Looking Glassの操作方法を説明しよう。3Dデスクトップと聞くと操作が難しく感じる読者も多いはず。しかし,Project Looking Glassは通常のデスクトップを利用する感覚で操作できる。マウス・ポインタの動きは従来と変わらず,後方にあるボタンやウインドウは,通常と同様にその上でマウスをクリックすればよい。

 画面右上にあるJavaマーク上で,マウスの左ボタンを押したままマウスを動かすと,視点を自由に変更できる。この機能を使えば,アプリケーションの裏側まで見られる(写真4)。

写真4●視点を移動する
写真4●視点を移動する
右上のJavaのマーク上でマウスの左ボタンを押したままマウスを移動すると,視点が回転する。アプリケーションの裏側など自由に閲覧できる。

 アプリケーションは写真5のように横向きに立てかけておくこともできる。ウインドウ枠上で右クリックすれば,ウインドウが裏返り,そこにメモを記入できる。

写真5●立てかけられたウインドウウインドウ
写真5●立てかけられたウインドウウインドウ
枠にある「<」や「>」をクリックすると,ウインドウが“立てかけられる”。また,マウス・カーソルを合わせると,ウインドウの内容が分かるように傾く。

 デスクトップは1枚の背景を複数に分けて利用している。そのため,右や左に別々のデスクトップが存在する。デスクトップを移動したい場合は,マウス・ポインタを右または左端に移動してクリックすればよい。ただし,起動中のアプリケーションを別のデスクトップに移動することはできない。また,画面下のパネル上で右クリックすると,デスクトップの全体像が表示される(写真6)。

写真6●デスクトップの全体像
写真6●デスクトップの全体像

 デスクトップの背景を変更したい場合は,画面右下にあるをクリックする。すると,背景セレクタ(写真7)が実行され,任意の背景に切り替えられる。

写真7●背景セレクタ画面
写真7●背景セレクタ画面
右下の建物の画像をクリックすると背景を選択できる。

 アプリケーションの起動は画面左下にあるメニューから選択すればよい。また,アプリケーションを終了させたい場合は,ウインドウ枠やアプリケーション内にある「×」マークをクリックするか,パネル上にあるアプリケーションのアイコンやサムネイルを右クリックすればよい。

 デスクトップ上で右クリックすると,表示されているアプリケーションが縦になって画面の右や左に並べられる。もう一度,デスクトップ上で右クリックすれば元に戻る。

 Project Looking Glassを終了させたい場合は,右下にあるをクリックする。

アクセラレーション機能が必要

 それでは,Project Looking Glassをインストールしてみよう。

 Project Looking Glassを起動するには,グラフィックス・カードが持っているアクセラレーション機能をあらかじめ有効にしておく必要がある。しかし,NVIDIAなどのグラフィックス・チップを搭載したカードは,ディストリビューション標準のドライバではアクセラレーション機能が有効にならない。そこで,各メーカーのグラフィックス・ドライバを入手して,インストールしておく*1