図1●6割がプライベート用のノートPCを仕事に使っている
図1●6割がプライベート用のノートPCを仕事に使っている
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図2●ノートPCのセキュリティ対策として普段心がけていること
図2●ノートPCのセキュリティ対策として普段心がけていること
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 「個人で購入したプライベート用のノート・パソコン(PC)を仕事で使っている」。ノートPCを持ち歩いて仕事をしているビジネスパーソンの6割近くが、こう答えた。

 これは、日経コンピュータと日経BPコンサルティングが実施した「仕事とノート・パソコンに関する調査」の結果である。日経BPコンサルティングが保有するモニターから回答を得られた400人のうち、職場以外(家庭や外出先など)で仕事のためにノートPCを使っている人は207人で、400人のうち51.8%だった(関連記事:モバイル利用者の9割が「仕事に役立つ」)。

 職場以外でノートPCを使っている207人のうち118人、つまり57.0%が個人の目的で購入したプライベート用のものを主に使っていると回答した(図1)。

 なぜ、プライベート用のノートPCを仕事に使っているのだろうか。その理由を上述の118人に聞いたところ、「会社からノートPCが支給されていない」が最も多く、69人が挙げた。次に続いた理由は「もともと自宅など会社外で仕事をするために購入した」で41人が挙げている。必要な道具である。しかし会社は用意してくれない。そうであれば自分で調達するしかない。こう割り切っている現場社員の姿が見えてきそうだ。

 セキュリティ対策にどの程度気を配っているかについても聞いてみた。職場以外でノートPCを使っている207人に対して「ノートPCのセキュリティ対策として個人で普段心がけていることは何ですか」とたずねたところ、上位を占めた回答は「ウイルス対策ソフトを導入し機能させる」(162人、78.3%)と「パソコンの起動時やログイン時のパスワードを設定する」(147人、71.0%)の二つ。「スクリーン・セーバーの解除にパスワードを設定する」(69人、33.3%)、「盗難や紛失に備えて機密情報や個人情報は入れない」(61人、29.5%)は少数派だった(図2)。

 この調査結果を見ると、ウイルス対策などごく基本的な取り組みは定着しているものの、一歩進めた安全策はまだ浸透していないようだ。多くの情報漏洩事件は、個人のPCに仕事で使うデータを入れていたことが原因である。

 一歩進めた安全策を広めていく一方で,基本中の基本であるパスワード・ロックをもう一度確認したい。ラックの岩井博樹コンピュータセキュリティ研究所長は、「パスワードの設定は基本中の基本なので、再度確認してほしい」と助言する。

 また岩井所長はノートPCを不用意に放置しないといった物理的な面についても意識を払うようアドバイスする。「ごくごくまじめに仕事に取り組んでいる人が、ちょっとしたセキュリティ対策の不備で情報漏洩事件の『加害者』になることがある。自宅で仕事に使っているノートPCを、目を離した隙に子供がいじり、Winnyをインストールしてしまい、仕事の情報が漏洩してしまった、というケースがあった」(岩井所長)。