「玄箱」(くろばこ)は,周辺機器ベンダーであるバッファローのアウトレットブランド「玄人指向」が販売しているLinuxを組み込んだNAS自作キットだ。

玄箱PRO

 従来からこの玄箱に各種ディストリビューションを組み込んで低消費電力のサーバーとして活用することが行われていたが,「玄箱PRO」は「上級者向けARM9コンパクトLinuxBOX」とうたわれているとおり,従来の玄箱よりもLinux活用を意識した作りとなっている。

 今回は,この玄箱PROを自宅サーバーとして活用するためのセットアップ方法を紹介する。なお,今回はびぎねっとに4月に入社した期待の新人・大内明が玄箱PROのGNU/Debian Linux化とのそのレポート,コネクタのハンダ付けおよびシリアルケーブルの自作を行った。

シリアル接続を可能にしておこう

 玄箱PROはLinuxBOX自作キットのため,買ってきただけでは使えない。まずNASとしての性格が強いので,内蔵するためのハードディスクを用意しよう。玄箱PROからハードディスクのインタフェースがシリアルATAに変更されているので,購入時には注意しよう。

 また,外部とのインタフェースは標準ではネットワークインタフェースとUSBポートしか用意されておらず,VGA端子は用意されていないので,モニタに画面出力を行えない。玄箱PROでは内蔵フラッシュメモリー上のLinuxと,追加した内蔵ハードディスクにインストールしたLinuxのいずれかから起動できるが,起動を司っているのがブートローダーの「U-Boot」だ。実験のために起動を切り替えたり,万一起動しなくなってしまった場合にはU-Bootの設定を書き換える必要があるが,U-Bootを操作するには玄箱PROのシリアルコンソールにほかのPCから接続する必要がある。

 接続用ケーブルは安く済ませたいならば自作することもできるが,ケーブルを自作する自信のない人は発売元である玄人指向から玄箱PRO用シリアルコンソール接続キット「SCON-KIT/PRO」が発売されているので,玄箱PROとセットで購入しておくとよいだろう。

 その場合でも,玄箱PROの基盤上にあるUARTのスルーホールにキット同梱の接続用コネクタを自分でハンダ付けする必要がある。

 そしてハンダ付けすると保証が一切受けられなくなるという,『パソコンを知り尽くした「玄人」ユーザーの皆様のパソコンライフを極限まで快適にするパーツ・ツールをお届けする,まさに「玄人」の「玄人」による「玄人」のためのブランドです』というコンセプトに恥じない作りとなっている(せめてコネクタぐらい最初からつけておいてくれよ…)。

シリアルケーブル自作中

 ハンダ付けの位置がシリアルATA用コネクタとメイン基盤接続用コネクタの間という微妙な位置にあるのが難点だが,是非トライしてみたい(というよりも,このシリアルコンソール接続が用意できない限りは,玄箱PROには手を出さない方がよいだろう)。

サブ基盤の下部にシリアル接続用のUARTがある。
左下がeSATA用コネクタ,左中央がPCI Express x1用コネクタ