ネットワーク・トラブルのきざしはWebの挙動に現れる――日経NETWORKは「ネットワーク・トラブルに関するアンケート」を毎年この時期に実施しているが,前回の結果から明らかになった現象がこれだ。アンケートの「トラブル発生が判明するきっかけとなった現象は何でしたか」(複数回答)という問いに対し,最も多かった回答は「Webアクセスができなくなった」の422件だった。総回答数778の半数を超えた。次に多かった回答は「メールが使えなくなった」。こちらも314件あった。トラブルは身近なところで発覚するという体験的な印象を裏切らない結果が出た(図1)。

図1●トラブルが判明するきっかけとなった現象(複数回答) 2006年の調査結果から
図1●トラブルが判明するきっかけとなった現象(複数回答) 2006年の調査結果から [画像のクリックで拡大表示]

トラブル対策に教科書なし

 ネットワークにトラブルはつきもの。だけどトラブル対策に教科書はない。そこで日経NETWORKは,さまざまなネットワーク・トラブルの実例を調査して,原因の特定や解決に役立つ手段を統計的に見つけ出すことを狙っている。これまでの調査からは,「トラブル症状別の解決法」や「トラブル解決に役立った事前の策」などを日経NETWORKの特集記事としてまとめてきた。

 今年も最新の調査として「ネットワーク・トラブルに関するアンケート 2007」を実施している。調査サイトは7月30日の正午までオープンしているが,これまでに500を超える回答が寄せられた。ご協力いただいた方にはこの場を借りて御礼申し上げます。

 ここでは中間速報として,集計中のデータを基に,今年の傾向や特徴の一部を紹介する。ただし,あくまで速報値であり,最終的な集計結果とは異なる可能性があることをご理解いただきたい。

原因や解決手段の傾向に大きな変化なし

 冒頭に「ネットワーク・トラブルのきざしはWebの挙動に現れる」と昨年の結果を報告したが,今年も同じ傾向が見てとれる。トラブル発生が判明するきっかけとなった現象は「Webアクセスができなくなった」が過半数,「メールが使えなくなった」も全体の半数近くを占めている。

 このほか,毎年尋ねる定例質問の回答は,いまのところ昨年と同様な傾向を示している。代表的な質問の回答を拾ってみると,トラブルの原因は「LANスイッチやリピータ・ハブの故障」,原因を特定するのに役立った行動は「pingなどのコマンドを利用した」が最多となった。

「最初の一手」を調査する

 実は「昨年と同じ」という傾向はある程度予想していた。そこで今年の調査では,もう一歩,踏み込んだ質問を用意した。ずばり「最初に何をしましたか」を尋ねることにした。具体的には,トラブルの原因を特定するときに最初にとった行動は何か,解決のために打った最初の手段は何か,を質問している。さらに,こうした「最初の一手」は効果があったのか,それとも「次なる手」を繰り出す必要があったのかも尋ねている。

 現時点の集計データでは,最初の行動でトラブルの原因を特定できた回答者数は全体の約30%ある。逆にいえば70%近くのケースで次のアクションを起こす必要があったということになる。ただし,最初の手がだめだったとしても,二の手三の手を繰り出すことで,ほとんどの回答者が原因を特定できている。この結果を見る限り,「最初がダメでもあきらめないように」と言いたくなる。

 一方,トラブル解決の最初の一手では,ほぼ半数の回答者が「最初の作業で解決できた」としている。これはかなりの成功率といえないだろうか。このデータを見ると,関連して調べてみたい項目がいくつかわいてくる。最初の一手でうまくいった回答者は,「どれくらいの時間で解決したのか」や,「日頃実行していたことで,トラブル対応で役に立ったことは」といった質問に何と答えているかだ。すべての集計が完了したら,こうしたクロス分析を行ってみる予定だ。最終的な結論は,改めて報告する予定なので,しばらくお待ちいただきたい。

 ITpro読者のみなさんでこの調査に関心を持たれた方は,是非アンケートにご参加ください。自由記入欄も用意したので,みなさんの実体験を気軽に書き込んでください。ご協力のほど,よろしくお願いいたします。

調査名:「ネットワーク・トラブルに関する調査 2007」
調査画面のURL:https://aida.nikkeibp.co.jp/Q/nwt0707.html