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無料でも可用性は低くない

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日本大学総合学術情報センター 情報企画課 吉田誠課長
日本大学総合学術情報センター システム管理課 小野浩樹課長補佐


 日本大学は4月から、グーグルのWebメールサービス「Gmail」を使って学生用メールシステムの運用を始めた。当初3万人から利用を開始、今後3年をかけて全学生10万人に対象を広げる。無料というコストもさることながら、グローバルを相手にする可用性の高さも高く評価している。(聞き手は小野口 哲)


日本大学ほどの大規模にGmailを採用した組織は国内でもまれです。

日本大学総合学術情報センター 情報企画課の吉田誠課長(左)
日本大学総合学術情報センター システム管理課の小野浩樹課長補佐(右)

 今回のシステム刷新は、最初からグーグルのGmailなどのようなSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を前提に話を進めていたわけではありません。学内でメールシステムを構築すべきなのか、SaaSにするのかなど、いろいろ検討する中の選択肢の1つにGmailがあったわけです。

 当大学では、2006年度に全学統一の学生用メールシステムを構築する予定でした。昨年の9月に主要学部のシステム管理者を入れたワーキング・グループを作って学内で検討していました。

自前でこれだけの使い勝手は難しい

 06年11月半ばにはGmailの採用を決定、12月半ばに、正式なプロジェクトとすることが決まりました。実際に利用するのは、グーグルが大学向けに無償で提供する「Google Apps Education Edition」です。各学生は、2Gバイトのメールボックスを備えるGmailのほかに、インスタント・メッセンジャやスケジュール管理、ワープロ/表計算などを利用できます。

なぜグーグルのGmailを導入したのですか。

 全学部の学生を1つのシステムで管理・運用できるということで調査した結果、グーグルが使い勝手、技術力、信頼性の面で高く評価されたのです。グーグルにも直接コンタクトを取り、10月には担当者から説明も受けました。Google Appsがタイミングよく発表されたことで採用につながったわけです。

 独自の調査の結果、十分な多重化を施していることが分かり、信頼性の面では問題ないという結論に得たことも採用の理由の一つです。自前でシステムを構築したとしても、グーグルほどの信頼性を確保できないと思います。

 それに、Gmailなどのサービスは、一般消費者向けに提供しているだけあって、使い勝手が良い。今では大学のメールよりGmailなどのWebメールを使っている学生が多いのが現実です。自前で開発することも可能でしたが、同等の機能を持たせると思うと開発費が高くついてしまいます。

アカウント管理部分は開発

SaaSを利用するだけで、導入に当たって自前で開発した部分はなかったのですか。

 Gmailを大学に導入する際、問題になったのがユーザー管理でした。そこで新たに、「メールアカウント管理システム」を構築しています。アカウント管理システムは、学生基本情報システムから、学生の氏名などの基本的な個人情報を受け取り、その情報から学生のメールアドレスと、初期パスワードを作成し、Gmailに渡すものです。グーグルが用意するAPIを使ってGmailと連携させています。

 アカウント管理システムは、今年1月半から、サイオステクノロジーが開発しました。開発期間は約2カ月半で、4月に運用を開始しています。

 アカウント管理システムだけの開発で済んだので、メールを全部自前で開発した場合と比較すると、4割程度の構築費に収まったのではないかと考えています(編集部注:アカウント管理システムの構築費用については非公開。メール・システムを新規に開発した場合は、全部で数千万円程度かかったとみられる)。

有償サービスだから信頼できるわけではない

 4月初めには7学部3万人の学生が、Gmaliを基に開発したNU-MailGを利用できるようになりました。各学部の管理者は、Gmailの管理画面でメールアカウントと使用状況を確認したり、パスワード忘れの問い合わせへの対応、マナー違反した使い方をした学生を利用停止にすたりするといった作業を手掛けます。

 残りの7学部については、今後3年間で順次導入しいく予定です。終了すれば、全学10万人が統一したメール環境を使うようになります。具体的な予定は決まっていませんが、大学のOB/OGなど50万人まで利用対象を広げていきたいと考えています。

Gmailを採用した新システムの構築コストや、導入による運用コストはどう変わりましたか。

 Google Apps Education Editionは無料ですから、運用には一切費用はかかかりません。これまでコストがかかっていたところを、グーグルに任せることができます。

システム選定を進める際に、メールのデータをグーグルのサーバーに置くことは、信頼性の面で議論にならなかったのですか。

 もちろんなりました。しかし、通信会社やプロバイダのメール・システムを使っていたとしても、事故が起こるリスクは残ります。学内にサーバーを置いても同じです。世間では内部犯行による情報漏えいも起きています。サーバーがダウンしたり、停電で稼働しないこと考えられます。

 大手の通信事業者から大量の個人情報が流出する時代です。有償だから安心というわけではないですし、無償だから使えないということではないのです。



■関連特集『マッシュアップがもたらすシステムの破壊と創造』
第1回 10人日、ゼロ円の衝撃
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第3回 個人が楽しむやり方が情報共有の主流に
第4回 競争力の源泉を公開する
第5回 仮想世界が企業を動かす

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(小野口 哲=日経PC21)  [2007/07/18]





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