セカンドライフってどんな世界?

 昨年末あたりから、盛り上がりを見せる「セカンドライフ」。ネット上に築かれた「仮想世界」で、世界中のユーザーがこの空間に入り、現実世界さながらの「もう一つの人生」をすごしている。

 元々は米リンデンラボという一企業が運営するサービスだが、この空間の中に名だたる大企業が次々と自社施設を作り、大物ロックバンドがライブを開催し、高級ブランドがショーを開くなど、参加者自身が“世界”を押し広げ、大変な騒ぎになっている。さらにセカンドライフ内での稼ぎだけで食べている人がいるとか、1億円以上の資産を築いた人が登場した、など景気のいい話も聞こえてくる。

 だが、これはセカンドライフのほんの一部を表しているにすぎない。企業の施設などは、広大なセカンドライフの世界全体から見ればごく小さなものだし、大半のユーザーも金儲け目的でセカンドライフに参加しているわけではない。

 ここ数カ月でセカンドライフのユーザー数は急増しており、2007年3月13日時点での総アカウント数は、全世界で約460万人。「なんだ、ミクシィの800万人と比べればまだまだじゃないか」と思うかもしれないが、ユーザー数の推移を見れば、今まさにブレイク中の“旬な”サービスだということが分かる。セカンドライフのトップページには、最新のアカウント数や現在セカンドライフ内にいる人数が表示されている。この数字を眺めれば、その勢いを実感できるはず。

セカンドライフの登録者数の推移。米リンデンラボが2月に発表した統計に07年3月13日時点のアカウント数を加えて作成した
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こんな仮想世界の中で生活できるセカンドライフ。自由度が高いだけに、現実同様、何をするかは自分次第だ
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仮想空間では空も飛べる

 では、セカンドライフはいったいどんな世界なのだろうか。セカンドライフを楽しむには、専用ソフトをダウンロードする必要がある。現在ソフトはWindows、Mac、Linuxの3種類が用意されている。利用料は、もちろん無料。お金が必要になるのは、アイテムを買ったり土地を借りたりと、ドップリ仮想世界に浸った後の話。見て歩くだけなら、一切お金は必要はない。

 ソフトを起動してログインすると、仮想世界が3次元で描かれる。自分のキャラクター(アバターと呼ぶ)は前後左右に歩けるだけでなく、自由に空中を飛び回れる。また遠くに移動したいときはテレポートも可能だ。

 ネットでつながった仮想空間だから、まわりには自分以外にも人がいる。「チャット」を使えば近くにいる人に(文字で)話しかけることも可能だ。世界中のユーザーが集まっているので、公用語は英語。だが恐れることはない。非英語圏のユーザーも多く「スペイン人だから英語はカタコトです」などと話している光景もよく見かける。また日本人が多い地域もあり、そういう場所では日本語でも会話できる。

日本人専用居住区のAkiba。まったくテイストの違う建物が同居するあたり、本物のアキバっぽい!?
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純日本風の美しい風景で定評がある、NAGAYA。季節に応じて日本の四季を再現している。満開の桜にしばしうっとり
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日本人同士なら、日本語で会話可能。ただし、Windows版のユーザーは、別途フォントをインストールしないと日本語表示ができないケースもある
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コンテンツはユーザーが作り出す

 セカンドライフの大きな特徴は、コンテンツの大部分はユーザーが作り出したものである、という点。巨大なお城からアバターが身に着ける小さなアクセサリーまで、すべてユーザー自身がセカンドライフ内で制作しているのだ。具体的には直方体、円柱といった数種類の単純な物体を変形し、組み合わせることで目的のものを形作っていく。さらにリンデンスクリプトと呼ばれる独自のプログラミング言語が用意されており、これを駆使すれば運転できる車や実際に遊べるスロットマシーン、雪山をすべるスノーボードなどなど、様々な「しかけ」を作ることが可能だ。

 セカンドライフには「ここまでしか用意されていない」という限界がない。ユーザーのアイデア次第でいろいろなアイテムが作れるので、「こんなことまでできるの!?」と驚かされることも多い。

大観覧車のふもとのテラスでひとりティータイム。湯気の出るティーカップや実際に乗れる観覧車も、すべてユーザーが制作したもの
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雪山でスノーボード。滑るとちゃんと雪煙が上がるのがニクイ。スクリプトを使えば、こんなアイテムだって作れてしまう
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