今回はsamba 3.0.21で実装されたものの,まだあまり知られていないSambaのイベントログ機能の設定方法について紹介したいと思います。

 まずは最近のSamba関連のニュースです。

OSC2007 Hokkaido

 2007年6月30日に,オープンソースカンファレンス2007 Hokkaidoで,日本Sambaユーザ会の太田俊哉氏が「ちょっと便利なSambaの使い方」と題しSambaの監査機能やWINSの複製ツールなどの紹介を行いました。

 セッションの資料は日本Sambaユーザ会のWikiで公開されていますので,ぜひご覧ください。

http://wiki.samba.gr.jp/

OSC2007 Kansai

 2007年7月20日(金),21日(土)に,オープンソースカンファレンス2007 Kansaiが京都で開催されます。日本Sambaユーザー会では21日(土)に「Sambaの最新動向紹介」と題するセッションを開催する予定です。なお,僭越ながら私が講師を務めさせていただきます。

 お時間がございましたら,下記URLより参加登録を行いご参加ください。

http://www.ospn.jp/osc2007-kansai/

 また,20(金)には日本LDAPユーザー会のセッションとして「LDAP入門,活用事例紹介」もありますので,こちらも合わせてご参加をお待ちしております。

CIFS Engineering Workshop開催のお知らせ

 2007年9月26日~28日にかけてSamba Team主催でCIFS Engineering Workshopが開催されます。このイベントはCIFSプロトコルに関係する開発者同士のSMB2/CIFSプロトコルの実装に関する議論の場として提案されています。このイベントではSamba以外のSMB2/CIFSプロトコルの開発関係者の参加も積極的に促されています。

 開催場所はアメリカのカリフォルニア州にあるGoogleのキャンパスで実施される予定です。興味のある方は,メーリングリストに投稿された下記の内容を参照してみてください。

http://lists.samba.org/archive/samba-technical/2007-June/053871.html

samba 4.0.0TP5リリース

 2007年6月7日にSamba4の5番目のTechnology Previewリリースとして samba 4.0.0 TP5が公開されました。samba 4.0.0 TP5での注目点は次のとおりです。

  • 新しいSWATがローカルのsambaサーバーだけでなく,リモートのsambaサーバーや,Windowsサーバーに対しても動作するように開発が続けられています。

  • MicrosoftのActive Directoryの複製機能であるDRSUAPIの最初の実装が含まれました。これには特別に暗号化されているActive Directoryのパスワードの復号化機能も含まれており,特筆すべき機能です。

  • LDAPバックエンドのプロジェクトがテスト実装の段階から進歩し,簡単にテスト環境を整えることができるようになりました。

  • この数カ月の間に,テスト範囲が非常に広くなり,多くのテストが実施されました。そして,テストツールによるコマンドライン認証と同様に,PKINIT(Public Key Crypthography for Initial Authentication in Kerberos)や多くのkerberosに関連する項目を実施できるようになりました。PKINITについてはRFC4556で定義されていますので,http://www.ietf.org/rfc/rfc4556.txt を参照してください。

  • テストスイートのフレームワークがperlによって書き直され,ドメインコントローラだけでなく,ドメインメンバーの機能もテストできるようになりました。またSamba4用のwinbindの初期実装が組み込まれました。

  • CTDBの機能が大幅に進歩しましたが,この機能はまだSamba4には統合されていません。

  • GPO(Group Policy Object)をサポートするために必要なフレームワークの実装が行われました。ただし,まだMMC(Microsoft Management Console)による設定はサポートされていません。

     このようにSamba4の基本機能の実装が大幅に前進し,Samba4で格納すべき情報について十分に認識できたため,今後のSamba4の開発においてSamba4の情報を格納するLDBフォーマットの形式については,おそらく変更する必要はないだろうとSamba Teamは述べています。

     また執筆時点では,Samba4でMMCからのGPO機能の設定が可能になったというアナウンスも出ています。

     そして,Samba Teamはsamba4.0.0TP6をリリースしてからalpha版をリリースするか,もしくは現在の開発に集中して次のリリースをalpha版にするか議論をしていますが,いずれにしてもこの数カ月以内に,samba 4.0のalpha版をリリースすることを予定しています。

    CTDB Webページの開設

     Samba4に取り込まれる予定のクラスタリングTDBデータベースに関するポータルサイトとして

    http://ctdb.samba.org/

    が開設されました。

     CTDBはクラスタリングファイルシステム上で,複数のノードから同時に操作可能なTDBの実装であり,現時点ではSamba3.0やSamba 4.0での利用が予定されていますが,その実装はSambaに特化しているわけではないため,クラスタリングファイルシステムを利用するアプリケーションであれば,CTDBを利用することが可能です。

     そのためCTDBに関する情報をSambaとは別に提供することになったようです。