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BP商事は中小の雑居ビルが立ち並ぶ地域の中にオフィスを構える企業である。BP商事では,IEEE802.11g規格の無線LANを使用している。無線LANのチャネルは,オフィス内で空きがあるチャネルを使って,問題なく運用していた。ところが,ある日突然,窓側の席の無線LAN端末のスループットが著しく低下するという問題が発生した。ただし,窓側から離れると問題の現象は改善する。そこで,問題が発生する窓側でWindowsの「ワイヤレスネットワークの接続」を開いてみると以下の画面が表示された。BP商事のアクセス・ポイントのESSIDは「BPAP_01」である。以下の選択肢のうち,最も可能性が高いと考えられるトラブルの原因はどれか。選択肢から一つ選びなさい。

[選択肢]
a. 外光が影響している
b. 屋外にある別のアクセス・ポイントからの電波が影響している
c. 窓ガラスによる電波の反射が影響している
d. アクセス・ポイントが故障して電波を出さなくなっている
e. BPAP_01以外のアクセス・ポイントに接続している

[解説]
 正解は,選択肢bの「屋外にある別のアクセス・ポイントからの電波が影響している」です。

 IEEE802.11gの無線LANは,2.4GHz帯の電波を使います。使用できる電波のチャネルは1~13チャネルです。もし,同じ空間で同じ無線チャネル(周波数帯が重なっているチャネル)を使った無線LANが存在すると,お互いが電波を取り合う格好になり,スループットが大きく低下します。

 「ワイヤレスネットワークの接続」の画面では,BP商事のアクセス・ポイント(BPAP_01)の電波だけでなく,他のアクセス・ポイントの電波も検出されています。電波の強さを見ると,BP商事のアクセス・ポイント「BPAP_01」の電波もそれなりに強いですが,「SMARTBRAIN」という名前のアクセス・ポイントの電波はそれ以上です。そのため,両方のアクセス・ポイントが同じチャネルを使っている場合,スループットが低下してしまいます。

無線LANのスループット低下原因

 選択肢aは,光(赤外線)を使った無線LANで発生するトラブルです。夕日が当たると障害が発生するケースがあります。また,問題発生以前は正常にアクセスできていたことから,選択肢cの「窓ガラスによる電波の反射が影響している」も不正解です。それに,2.4GHz帯の電波は基本的には窓ガラスを通過します。また,窓際から移動すればスループット低下はなくなるので,選択肢dの「アクセス・ポイントが故障して電波を出さなくなっている」も該当しません。ワイヤレスネットワークの接続画面を見ると,BPAP_01に「接続」という表示が出ており,選択肢eの「BPAP_01以外のアクセス・ポイントに接続している」も間違いであることがわかります。

 よって正解は,選択肢bの「屋外にある別のアクセス・ポイントからの電波が影響している」です。