Bruce Schneier Counterpane Internet Security
「CRYPTO-GRAM June 15, 2007」より

 もう2年以上前のことだ。George Ledin氏が「Communications of the ACM(Association for Computing Machinery)」誌で,コンピュータ・サイエンスを専攻する学生に対してワームやウイルスの教育をすべきだというエッセイを書いた。その内容は次のようなものだった。

 「コンピュータ・サイエンスを専攻する学生は,マルウエアを識別し,分析,無効化,削除できるようになるべきだ。そのためには,現在出回っているウイルスやワームについて調べ,独自にプログラムしてみる必要がある。コンピュータ・サイエンスにおけるプログラミングは,警察官にとっての実地訓練,外科医にとっての臨床経験にあたる。本を読むだけでは不十分だ。業界ではなぜ有罪判決を受けたハッカーをセキュリティ・コンサルタントとして雇い入れるのか?それは,我々がコンピュータ・サイエンスを専攻する学生の教育に失敗したからにほかならない」

 この春の学期に,Ledin氏はソノマ州立大学で上記の考えに基づくコースを教えた。多くのマスコミがこれを取り上げたが,クラスのプロジェクトでウイルスを作成したものはいなかった。新しいマルウエアが世に送り出されることもなく,新たな悪の種が出てくることもなかった。

 この手のことを教えるのは,全く理にかなっているのだが。

エッセイ:http://www.csl.sri.com/neumann/insiderisks05.html#175

http://www.sonoma.edu/pubs/newsrelease/archives/...
http://www1.pressdemocrat.com/apps/pbcs.dll/article?...
http://blogs.pcworld.com/staffblog/archives/004452.html
http://www1.pressdemocrat.com/apps/pbcs.dll/article?...
http://www.hardocp.com/news.html?...
http://technews.acm.org/archives.cfm?fo=2007-05-may/...
http://www.calstate.edu/pa/clips2007/may/22may/...

Copyright (c) 2007 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事 「Teaching Viruses」
「CRYPTO-GRAM June 15, 2007」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,2006年10月に英BTの傘下に入りました。国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。