ドメインの先は奥深く、多岐に渡る

 ドメイン(Domain)は、ご存知の通りインターネット上での住所にあたり、ネット上でのコミュニケーションに欠かせないものである。このドメインから電子メールのアドレスやウェブサイトのURLも決定されるため、対外的に告知をしたり、宣伝をおこなったりする場合の大きな要素であり、ないがしろにはできない。

 また、昨今、なりすましやニセサイトなどのセキュリティー面、はたまた、URLの文字列に第三者の登録商標などを使っての運用も続発しており、訴訟まで発展しているケースも散見する。このように一口にドメインと言ってもその先は奥深く、多岐に渡っているため、その管理運用に関しては軽視できない領域でもある。

いかに簡単にアクセスできるかを考えて告知する

 電話番号や住所と同様、ウェブサイトのURLを宣伝告知する場合にどのように表記するのか、その体系をつくり一定の形式で告知するのか、あるいはルールなしで運用するのかなど、ネット上のプロモーション戦略の案件として、インパクトのある領域である。

 いままでの経験上、会社によってその方針が決められていることが多くなってきている。 また、最近では検索エンジンからのアクセスが増大しているため

 「○×△で検索!」 などのようにURLを表示せずに検索キーワードを周知徹底させようという動きも出てきた。まだ、なにが正解か分からないが、いずれにせよ、いかに覚えやすく、いかに簡単にアクセスしてもらうかが宣伝時の大きな要素になっていることは事実だ。

 URL体系を考える場合、グローバルにビジネスをおこなっていてウェブサイトがグローバルに点在している場合は、自社のグローバルURL体系を規定し、各国はその考え方により展開するという考え方がある。一般的にはこの手法が多いようである。

 次によく考えなければならないことは、会社のブランドと製品・サービスブランドとの関係だ。会社によっては、製品やサービスブランドの文字列をURLのメインに押し出して訴求する手法、

 例えば、 www.ABCD.jp や XYZ.com など(ABCDやXYZは製品・サービス名)と

会社ブランド(あるいは会社名)ドメインを常に使用し、製品やサービス名は その配下に置く告知方法が考えられる。

 例えば、 社名.co.jp/ABCD 会社ブランド.jp/ABCD

 前者は、製品・サービスの数だけ告知URLが発生し、サイトの目的が終了した後それらURLの管理をどうするかという課題が残る。(しっかり管理すれば問題はないが‥)

 放置しておくと同じURLで第三者が全く関係のないサイトを立ち上げる可能性がある。 短期のキャンペーンや他メディアと同期して製品・サービス名の集中的な露出を行う場合などには効果的かもしれない。

 後者は、社名や会社ブランドを常に使用するため継続的な告知効果が見込めるとともにお客様がその体系を学習し、他の製品・サービスのコンテンツへのアクセスの可能性が高まるという効果が期待される。

ドメイン管理は自社の信頼性向上に繋がる

 前述のようにURLをどのようにお客様に伝えるかという事と同時にこれらのドメインの管理が重要である。自社に関係する文字列のURLを使おうと着手した時、すでに第三者が使用している場合、これは相手方との交渉が必要になり、最悪の場合自社が使えないということも発生する。

 このようなケースでは、交渉に際して時間や人件費もかかり、訴訟問題まで発展した場合はそれなりの費用と時間がかかる場合が多い。このようなことを考えると、自社が所有する商標文字列や重要と思われる文字列と同じドメインを先行して取得しておく方が遥かに費用と時間のセーブになる。

 このことをドメインの防衛取得と呼んでいる。日本の企業で社名ドメイン(グローバルドメインgTLD)を取得しようとしたらすでに第三者に取得されていたということもあった。ドメインを軽視すると後で大きなつけとなって返ってくるケースが後を絶たない。

 新製品のプレス発表などをすると、第三者によって、大体その日の内に世界中でドメイン登録が行われていると思った方がいいだろう。のちのちのトラブルを未然に防ぐためにも発表前の防衛登録を強くお勧めしたい。

この場合、

*どのようなドメインをどのようなタイミングで取得するのか
*いつまで管理するのか
*誰が費用を負担するのか
*誰がどう管理するのか

などなど、社内でルール化しておくとよいだろう。

 このような管理を円滑におこなうことによって、世界中で発生している、フィッシングサイト(詐欺サイト)やスパムメールなどのドメインが自社と酷似している場合など、素早く、第三者のものであるということが確認でき、早期の段階で対応できるというメリットが発揮できる。

 セキュリティー強化や個人情報保護、ひいては自社の信頼性向上にも繋がるため、ドメインに対してどう取り組むかということは重要な案件であることを、多くの方に認識していただきたい。