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ITインフラの最終形は「ダイナミック」

2007/06/21
玉置 亮太=日経コンピュータ
写真●米マイクロソフトのカール・コーキン氏
写真●米マイクロソフトのカール・コーキン氏
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米マイクロソフトでシステム運用管理製品事業を担当するカール・コーキン氏に、同社のシステム運用管理に関する取り組みを聞いた。コーキン氏は「運用管理のナレッジを記した『モデル』に基づく自律化がITインフラの最終形態」と指摘、マイクロソフトらが主導したモデル記述仕様を利用することで、「アプリケーション開発、インフラ整備、システム運用といった各担当者が連携し合って、一貫したITインフラを実現できる」という。
(聞き手は玉置亮太=日経コンピュータ)

システム運用管理分野における、マイクロソフトの取り組みはどんなものか。

 大きく2つある。1つはシステム運用管理の基本的な考え方をまとめた「Microsoft Operations Framework(MOF)」だ。これはITIL(システム運用管理業務の種類やプロセスを体系化したベスト・プラクティス集)に従って、最適なITインフラを設計・構築し、運用していくためのもの。企業のITインフラの状態を、「ベーシック」「スタンダード(標準化された状態)」「ラショナライズド(監査可能な状態)」「ダイナミック(自律的な状態)」の4段階に分けて定義している。企業が目指すべき最終段階の姿はダイナミック、つまりITインフラを構成するソフトウエアが、自己の稼働状態を自律的に判断して、最適な状態を保てるようにすることだ。

 企業はMOFに従って、自社のITインフラがどの状態にあるのかを診断できる。目指すべきゴールと現状の差を明らかにすることで、どこをどう改善すべきかが明確になる。ユーザー企業が利用しやすいよう、MOFにはマイクロソフトが企業にコンサルティングしてきた実践例を盛り込んでいる。ITILは個々の企業のITインフラに当てはめるには汎用的すぎるからだ。当社のコンサルタントもMOFを利用して、ユーザー企業のITインフラの状態を分析する。

ITILに基づくシステム運用管理のフレームワークは、他のベンダーも提唱している。マイクロソフトの特徴は何か。

 MOFを実現するために、具体的な製品開発や技術仕様の策定を進めている。それが2つめの取り組み、「Dynamic Systems Initiative(DSI)」だ。代表的な活動として、Webサービスの管理規格「WS-Management」、ITインフラを運用管理するための「ナレッジ(知識)」を記述する共通モデリング言語「Service Modeling Language(SML)」の策定などで、中心的な役割を果たしている。例えばSMLは、マイクロソフトのほかIBM、ヒューレット・パッカードなどのIT企業10社が策定を進めている(本誌注:マイクロソフト、IBM、サン・マイクロシステムズなど10社は2007年3月、Web関連の標準化団体W3CにSMLを提出した)。

SMLで記述する「知識」とは、具体的にどんなものか。

 ITインフラを構成するソフトやハードの種類や配置といった構成情報、運用ポリシー、トラブル時に実行すべき処理の種類といったものだ。例えば運用ポリシーとは、アプリケーションの稼働率や応答速度といったサービスレベル、エンドユーザーのパスワード長やデータ暗号化のレベルなどのセキュリティに関するもの、クライアントのソフトウエア構成やそれらの変更可否などを定義する。

 SMLを使えば、こうした運用管理ポリシーを、OSやデータベース、グループウエア、Webアプリケーション・サーバーといったミドルウエアごとに定義できる。アプリケーション開発ツールがSMLを解釈・記述できるようになれば、インフラ設計者が定義した運用管理ポリシーを、開発ツールを介してアプリケーション開発者がアプリケーションに反映させたり、運用管理担当者が運用設計に役立てたりできる。

 知識を中心に、IT組織が一貫したポリシーでITインフラを運用していけるようになるわけだ。こうした知識に基づくシステム運用管理が、MOFで言うダイナミックなITインフラの実現に欠かせない。

 SMLは元々、マイクロソフトが開発した技術仕様を基にしたもの。当社は自社の運用管理製品群に、SMLを全面的に採用していく計画だ。各ベンダーも今後、自社の運用管理製品群や開発ツールなどに、SMLを実装していくだろう。

今後の運用管理製品群のリリース計画は。

 2007年後半から2008年にかけて、DSIに沿ったシステム管理製品群「System Center」を拡充していく。これらの管理ツールはすべて、SMLで記述された知識を使って、ITインフラを管理できるようになる。

 まず今年は、ITインフラの構成管理ツール「Configuration Manager 2007」、データベースの保護やデータ・バックアップ管理の「Data Protection Manager 2007」、仮想化ソフト上で動作する仮想マシンを管理する「Virtual Machine Manager 2007」などを出荷する予定だ。

 こうしたSystem Center製品群に加えて、SQL ServerやExchange Server向けに、SMLで記述した運用管理機能を付加するためのアダプタ・モジュール「ナレッジ・パック」を提供していく。

 2008年前半には、ITILの運用管理プロセスの1つ「サービスデスク」に沿った管理作業実行を支援する「Service Manager」を出荷する。

 DSIは10年先を見据えたビジョンであり、実現への取り組みは始まったばかりだ。今後も業界を巻き込んだ技術開発を続けていきたい。

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