ケーブルテレビショーの会場
写真1●ケーブルテレビショーの会場
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 日本ケーブルテレビ連盟と日本CATV技術協会は2007年6月14~16日に,ケーブルテレビ(CATV)関連の展示会「ケーブルテレビショー2007」を共同で開催した(写真1)。今回の展示会では,災害情報の提供サービスや遠隔監視サービスといった地域密着型サービス,これらのサービスを支えるインフラに関する展示が目立った。現在の主力サービスである多チャンネル放送などのCATVサービスに加えて,地域住民の安全や安心のためのサービスを提供し,自らの存在意義を示そうとするCATV関係者の姿勢が改めて浮き彫りとなった。



緊急地震速報の受信端末を展示

 展示会場には,「CATV緊急地震速報・体験コーナー」が設置された。現在,ケーブルテレビ情報センター(CRI)とリアルタイム地震情報利用協議会(REIC)は,気象庁からの地震観測データを基に地震の震度や到達予測時間を算出し,各家庭に音声や文字で警報を伝える「ケーブルテレビを利用した緊急地震速報家庭内利活用実証実験」を行っている。現在,この実験には,64社のCATV事業者が参加しているという。同コーナーではネクストキャディックスが,受信端末と関連装置を展示した。同社の受信端末は,CATVの加入者に地震予知情報を受け取ったことを音声で通知し,CATVの番組で詳細を確認するように促す。このため地震予知情報の受信時に加入者が番組を視聴していなくても,地震の発生を伝えることが可能だ。テレビ画面には,地震予知情報の詳細が表示される。ネクストキャディックスの受信端末のほかに,ホーチキとシンクレイヤの製品も展示された。

 緊急地震速報の受信端末以外にも,加入者の安全や安心に貢献するサービスや製品などを展示するCATV事業者がみられた。例えばジュピターテレコム(JCOM)は,自社のCATVインターネットサービスの加入者を対象にした遠隔監視サービス「安心見守りサービス」を展示した。自宅などに設置した監視カメラが5秒間隔で撮影した映像を,インターネット経由で閲覧できるサービスである。自宅に不審者が侵入するといった事態が起きた際に素早く対応することが可能だ。同社は既に関西地区の系列局2社で安心見守りサービスを開始しており,8月をメドにほかの系列局でも展開する予定だ。

CATV事業者向けVOD支援サービスをアピール

 一方,一部の通信事業者は,自社が構築したインフラを利用したCATV事業者向けのVOD(ビデオ・オン・デマンド)支援サービスに関する展示を行った。例えば,KDDIは自社のVODサービスの関連設備とコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を活用した「CATV-VODサービス」を展示した。CATV事業者はこのサービスを利用することにより,KDDIのVOD管理システムやCDN経由で,自社の番組素材をVOD形式で加入者に提供できる。例えば,自社のコミュニティーチャンネルで放送している地域のイベントに関する映像などを,VODサービスのコンテンツとして利用することが可能になる。CATV事業者は自前の設備を用意する場合に比べて,VODサービスを開始するための初期投資額を軽減できるという。