インテリジェンスの実質的なCIO(最高情報責任者)である山崎高之・執行役員コーポレートヘッドクオーター・ビジネスイノベーション本部本部長。現在33歳で同社の最年少役員。IT関連子会社の経営経験もある。 |
アルバイト情報誌「an(アン)」や求人情報誌「DODA(デューダ)」で知られる学生援護会を2006年7月に経営統合した人材サービス大手のインテリジェンス。2006年9月期決算で大幅な増収増益を記録した同社は、社員の平均年齢が30歳代前半、役員ですら40歳代前半と若々しく勢いがある。現会長の宇野康秀氏や現社長の鎌田和彦氏など4人で1989年に設立した。宇野会長はUSEN社長としても知られる。
インテリジェンスの事実上のCIO(最高情報責任者)として活躍しているのが、山崎高之執行役員である。同氏は現在33歳で、インテリジェンスの最年少役員。1998年にコンサルティング会社からインテリジェンスに転身し、グループのIT(情報技術)関連子会社の役員などを歴任してきた。インテリジェンスグループは、IT人材の派遣やソフトウエア開発のアウトソーシング事業などを手がけている。
インテリジェンスの現在の従業員数は3000人を超えた。売上高は600億円に迫り、5年前のおよそ3倍の規模となった。急拡大する同社の経営管理を強固なものにするためには、ITインフラの整備が欠かせない。特に昨年合併した学生援護会のITインフラの統合を急ぐ必要がある。学生援護会から引き継いだ「an」と「DODA」の2ブランドは、同社の中核事業の1つとして期待されているからだ。現在は単につないだ状態だという。
しかも、「人材サービス業界において、ITは戦略上より欠かせないものになってきていると痛感する。例えばアルバイトを探す人の48%が、インターネットを使って見つけているという調査結果がある」と山崎執行役員は説明する。個人が転職をするにもアルバイトを探すにも、あるいは企業が求人をするにも、インターネットを活用するのがもはや当たり前となっているのだ。
ただし、現在たくさんの人材サービス会社があるものの、「各社のウェブサイトには一長一短がある。今なら、すごく良いものを作れば差異化できる」と山崎執行役員は見る。例えば、行きたい企業や職種の情報をごく簡単に見つけたり、アマゾン・ドットコムのように使い続けるうちに「マイページ」にカスタマイズされたり、求人に応募した企業とのやり取りの履歴を一括して見ることができる人材サービスサイトはないという。
この点で、現在最も力をいれているのが「an」と「DODA」のインターネット戦略の強化だ。山崎執行役員は、学生援護会が育て上げたブランド力を活かしつつ、従来よりも格段に集客力のあるサイトにすべく日々知恵をしぼっている。まずは、企業への人材の紹介と個人の転職をサポートする新生DODAのサイトを今年1月に立ち上げた。元プロ野球選手の新庄剛志氏をイメージキャラクターとした広告も印象的だ。
一方、アルバイト情報を扱う新生anのサイトは、7月2日にオープンさせる。インテリジェンスは従来、自社で作ったブランド「OPPO」でもアルバイト情報を提供していた。今後はanブランドに一本化する。新生anサイトはなんと3つもある。利用者のライフスタイルを考慮して3タイプのサイトに分けたのだ。地域別に求人情報を掲載した「anエリア」、週5日以上の求人情報に特化した「anレギュラー」、こだわりの条件や希少性の高い求人情報に絞り込んだ「anセレクト」がある。
「新生anの3サイトは、基幹システムはOPPOのシステムを使い、フロント部分は新規に開発した。一時的にIT投資額は増えたが、基幹システムを1つにしたので運用費は下がるはず。これで売上高も増えれば、IT投資の費用対効果が高いということになる。またサイトを3つに分けたのは、あまりに大量の情報が1つのサイトにあっても利用者が見切れない、分けたほうが使い勝手が良くなり、訴求できるのではないかと考えたからだ」(山崎執行役員)
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