「Firefox」を使っている人は多いだろう。2~3台のコンピュータ上でFirefoxを最新の状態に保ち,安全な設定をすることは,それほど大変ではない。しかし,10台以上のコンピュータでFirefoxを使おうとすると,管理にかかる手間は一気に増大する。

 複数のデスクトップのそれぞれにFirefoxをインストールする作業は,多大な時間を必要とする。さらに,それぞれのデスクトップに最新のアップデートが適用されているかどうかを確認するのも,時間のかかる作業だ。他のユーザーがブラウザの設定を変更して,好ましくない設定やプラグインを使用していないかを確かめる作業も同様である。

 展開と管理を手動で行わなくても,Windowsインストーラやグループ・ポリシー,Active Directory(AD)を使ってこれらの作業を自動化できることをご存知だろうか。もちろん,WindowsインストーラでFirefoxをインストールするには,適切に作成されたMSIパッケージ・ファイルが必要だし,設定を管理するには,FirefoxをActive Directoryと連携させる必要がある。筆者は,これら両方の問題に対するソリューションを提供している会社を見つけたのだ。

 米FrontMotionのWebベース・ツールである「Firefox Packaging Service」を利用すると,最新の3つのFirefoxのリリースから自分の好きなものを選び,さらに17個あるプラグイン・リストから最大10個のプラグインを選んで,自分の環境に適したFirefoxのインストール・パッケージを作成できる。ユーザーがパッケージ内容を選択すると,同サイトはダウンロード可能なMSIパッケージをビルドするのだ。このパッケージは,展開やアップグレードのプロセスに利用できる。同サービスの利用には,年間150ドルの費用がかかる。この費用を払えば,必要なだけ何回でもパッケージをビルドできる。

 さらにFrontMotionは,「Firefox Community Edition」を無料で公開している。このエディションは最新バージョンのFirefoxをベースにしており,Active Directoryやグループ・ポリシーと連携できる機能を備えている。従って,パッケージをビルドするのにFirefox Community Editionを使うこともできるし,Active Directoryの統合が必要でない場合は,通常版のFirefoxも選択できるのだ。

 Firefox Community EditionはActive Directoryと統合されているだけでなく,デスクトップ・アイコンを制御する機能,さらにはシェル統合機能も提供する。Firefox Community Editionのシェル統合は,Internet Explorer(IE)がシェルと統合されている仕組みと似ている。Firefoxを,デフォルトのブラウザに設定することも可能だ。さらに,必要であればアンインストールもできるうえ,Adobe Flash Playerがプリインストールされてもいる。他にも機能が満載だ。

 従って,Firefox Community Editionを利用すると,Active Directoryとグループ・ポリシーを使って展開と設定を簡単に処理できるのだ。他のサード・パーティのツールでも,同様の作業をこなすことが可能である。Dion Liddell氏は,Active Directoryのグループ・ポリシーを使ってMozillaとFirefox両方の設定を制御できるようにする「WetDog」と呼ばれるツールを作成している。WetDogには,ドメイン・コントローラ (DC)に配置して, ユーザー・ログオン・スクリプトに挿入する実行ファイルが付いてくる。

 Bob Templeton氏は,Firefox展開用のパッケージをビルドすることを可能にする「FFDeploy」というツールを開発した。同ツールの開発は2005年に停止されたようだが,同ツールはVisual Basicで記述されているため,必要な機能がない場合は,変更を加えることが可能だ。

 最後に紹介するのは(最後だからといって,重要度が低いわけではない),Mark Sammons氏が作成した「FirefoxADM」と呼ばれるツールだ。このツールを使うと,グループ・ポリシーを使ってFirefoxの統合や制御を実行できる。