仮想化技術は現在大きな注目を集めているが,それには十分な理由がある。今日の仮想化製品は洗練されており,こうした製品を使って企業が現在直面している多くの問題を解決することができるからだ。以下に,Microsoftの仮想化技術「Virtual Server 2005」をより効果的に使うための10個のヒントを紹介しよう。

1. Virtual Server 2005 R2にアップグレードする

 もしあなたがVirtual Server 2005を使っていて,Release 2 (R2)にアップグレードしていないのなら,アップグレードすることを強くお勧めする。Virtual Server 2005 R2では,64ビット・ホストのサポートをははじめ,Windowsのクラスタリング・サービスのサポート,広く普及しているLinuxディストリビューションの新サポート,改善されたハイパースレッディング,Microsoft SQL ServerとExchange Serverの最大100パーセントのパフォーマンス向上を含む,多くの新機能が提供されているからだ。

2. 仮想マシン(VM)に十分な量のメモリーを割り当てる

 新たにVMを作成するとき,メモリーは考慮すべき重要な要素である。VMのサイズを決めるときは,VMには少なくとも物理マシンと同じメモリー量,さらにVMのオーバーヘッド用に追加で32MBのメモリーが必要なことを思い出そう。例えば,512MBのシステムを適切にVMに移すには,544MBのRAMを割り当てる必要があるのだ。

3. ホストに十分な量のメモリーを割り当てる

 VMに十分な量のメモリーを割り当てるのは非常に重要なことだが,ホスト用に十分なメモリーを確保することは,それ以上に重要である。ホストがメモリーを使い果たしてページングを始めたら,すべてのVMのパフォーマンスが影響を受けるからだ。ホストには,最低でも512MBのメモリーが必要である。x64プラットフォームでVirtual Server 2005 R2を実行すると,利用できるメモリーの量が大幅に増加する。32ビットのプラットフォームでサポートされているシステム・メモリーの上限が4GBなのに対して,x64プラットフォームでは最大1TBまでサポートされているからだ。

4. Virtual Machine Additionsをインストールする

 Microsoft Virtual Machine Additionsは,VMのパフォーマンスとユーザビリティを向上させるコンポーネントだ。Virtual Machine Additionsは,重要なVM機能のいくつかをシステム・カーネルに移すことによって高性能なマウスとビデオのサポートを提供し,オプションでホストとの時間の同期を可能にする。

5. VHDを別のディスク上に作成する

 VMはホストのリソースを共有する必要があるのだが,ハードディスクのリソースはパフォーマンスに大きな影響を与える。Virtual Hard Disk (VHD)を別のディスク・ドライブに作成し,さらにホストOSが使用するドライブとコントローラーからVMコントローラーを分離することによって,システム・リソースの競合を減少させ,全体的なパフォーマンスを向上させることが可能になるだろう。

6. 差分ディスクを使って,ディスク容量を節約する

 VMを使うと,VMとそれに関連付けられたVHDは,多くのディスク容量を必要とすることに気づくだろう。Virtual Server 2005 R2の差分ディスク機能を利用すると,ホストに必要なディスク容量を大幅に減らすことができる。差分ディスクを使うと,他の複数のVMに基礎部分を提供する,読み出し専用の親ディスク・イメージを作成することができるのだ。これによって,ホストの容量を大幅に節約することが可能だ。

7. アンチウイルス・スキャニングからVHDを除外する

 アンチウイルス・スキャニングはVMのパフォーマンスを停滞させることがあるため,アンチウイルス・スキャニングからVMのVHDを除外する必要がある。これには,「.vhd」や「.vmc(VMの構成)」「.vud(復元ディスク)」「.vsv(状態の保存)」などのファイルが含まれる。さらに,暗号化あるいは圧縮されたボリュームに,VHDを作成してはいけない。

8. リモート管理を可能にするために,ポート1024を開く

 デスクトップ指向のVM製品(通常,Windows GUIを通して管理される)と異なり,Virtual Server 2005 R2の管理は,Webインタフェースを使って行う。これにより,サーバーのリモート管理が容易になっている。デフォルトの状態だと,Virtual Server 2005 R2は管理コンソールにポート1024,Virtual Machine Remote Control (VMRC)クライアントにポート5900をそれぞれ使う。Kerberosが使われている場合は,VMRCクライアントもポート137と138を使用する。

9. VMの自動起動を設定する

 サーバーが統合されている場合は,ホスト・システムの起動と同時に,VMも自動的に起動したいのが普通だろう。自動起動を設定するときは,「Virtual Server Administration」のWebサイトを開いて,自動起動したいVMを選択し,「Configure(設定)」をクリックする。その後,「General Properties(総合プロパティ)」>「Action when Virtual Server Starts(仮想サーバー起動時のアクション)」ドロップダウン・メニュー>「Always automatically turn on virtual machine(仮想マシンを常に自動起動する)」の順に選択するといい。

10. Windows 2003 R2の仮想化ライセンシングを利用する

 VMの一つの落とし穴は,ゲストで使われるOSが,物理デバイス上で作動している場合と同じライセンスを受けなければならないということだ。「Windows Server 2003 Release 2 (R2), Enterprise Edition」と「Windows 2003 R2, Datacenter Edition」では,VMで作動するWindows Serverインスタンスのライセンス用に,もっと費用効率の高いモデルが用意されている。Windows 2003 R2 Enterpriseは,最大四つのアクティブなWindows Serverインスタンスを認めており,Windows 2003 R2 Datacenterは,アクティブなWindows Serverインスタンスを無制限に認めているのだ。