ここでは,インターネット接続用のアクセス回線とIP電話のアンケート結果について,詳しく見ていこう。これらに関しては,ネットワークの規模が変わっても,傾向が同じだった。

企業向けのインターネット回線はFTTHがスタンダードに

 図5-1~5-3は,それぞれ小規模,中規模,大規模ネットワークについて,インターネット接続用のアクセス回線の種類をまとめたものだ。

図5-1●インターネット接続のアクセス回線
図5-1●インターネット接続のアクセス回線

図5-1●インターネット接続のアクセス回線
図5-2●インターネット接続のアクセス回線

図5-3●インターネット接続のアクセス回線
図5-3●インターネット接続のアクセス回線

 それらの図が示す通り,インターネット用のアクセス回線は,小・中・大とネットワークの規模を問わず,FTTHが最も多かった。小規模ネットワークでも,FTTHの方がADSLの約2倍使われている。家庭ではまだまだADSLの方が多いが,企業用のアクセス回線はFTTHがスタンダードとなったと言えそうだ。

まだまだ進まないIP電話の導入

 図5-4~図5-6は,それぞれ小規模,中規模,大規模ネットワークについて,内線の状況をまとめたもの。図5-7~5-9は,外線の状況を同様にしてまとめたものだ。

図5-4●小規模ネットワークの内線
図5-4●小規模ネットワークの内線

図5-5●中規模ネットワークの内線内線
図5-5●中規模ネットワークの内線

図5-6●大規模ネットワークの内線
図5-6●大規模ネットワークの内線

図5-7●外線
図5-7●外線

図5-8●外線
図5-8●外線

図5-9●外線
図5-9●外線

 図を見ると,IP電話については,ネットワークの規模にかかわらず,内線,外線ともに「導入していない」という回答がほぼ大半を占めている。まだまだIP電話の導入は敷居が高く,二の足を踏んでいる企業が多いようだ。

アンケート結果に見る設計指針

 ここまで紹介してきたアンケート結果を受けて,最後に一般的な企業ネットワークの設計指針をまとめてみたい。

 LAN構成については,ネットワークの規模が小さければ,1台のLANスイッチを基幹として,一つのサブネットだけでフラットに設計すればよいだろう。中規模,大規模になると,基幹にレイヤー3スイッチを導入し,サブネットやVLANの設計が必要になってくる。

 LANの基幹の帯域は,中規模および大規模のネットワークでは,ギガビット・イーサネットが必須と言える。小規模ネットワークでは,大半が100Mビット・イーサネットで済んでいるところを見ても,慌ててギガビット・イーサネットに切り替える必要はなさそうだ。LANの末端の帯域は,小・中・大と規模にかかわらず,100Mビット/秒で十分と言える。

 WANサービスについては,小規模ならばインターネットVPNか,フレッツ・グループアクセスまたはフレッツ・グループのいずれかを選択することになるだろう。中規模ネットワークは,よほど特殊な利用条件がない限り,WANにはインターネットVPNを利用すればよい。大規模については,IP-VPNまたは広域イーサネットをメインのWANに使い,インターネットVPNや専用線を補助的に使うという利用方法をベースに考えることになる。