RailsConf2007の模様
RailsConf2007の模様
[画像のクリックで拡大表示]
会場のポートランド コンベンションセンター
会場のポートランド コンベンションセンター
[画像のクリックで拡大表示]
Railsの作者であるDHH(David Heinemeier Hansson)氏の講演
Railsの作者であるDHH(David Heinemeier Hansson)氏の講演
[画像のクリックで拡大表示]
JRubyの作者Charles Nutter氏とThomas E Enebo氏の講演「JRuby on Rails」
JRubyの作者Charles Nutter氏とThomas E Enebo氏の講演「JRuby on Rails」
[画像のクリックで拡大表示]

 5月17日から20日にかけて,オレゴン州ポートランドで「Ruby on Rails」のイベントRailsConf2007が4日間にわたり開催された。Railsの作者であるDHH(David Heinemeier Hansson)氏が次期バージョン2.0について語るなど,熱いイベントになった。

主催者はO'Reillyに

 会場ははオレゴン州ポートランド コンベンションセンター。ポートランドは州税がかからないことや,治安が良い事からホームステイ先としてよく利用される都市である。

 RailsConfの日程はチュートリアルのみの初日と,キーノートとセッションの日に分かれている。5/17のチュートリアルは他の日と比べ参加者が少なかったが,2日目の18日からはかなりの人数が参加。参加者は1600人と昨年の3倍以上になった。

 また今年のRailsConfは主催者がO'Reillyになった事もあり,会場のセットやサービスは素晴らしく,ブースではRuby on Railsに特化した企業が開発環境などを展示していた。

2.0へ向けた9点の改良

 誰もが注目していたDHHのセッションはRuby on Rails 2.0に向けての主要な新機能だった。バージョン2.0では以下の9点について改良が行われるという。

1. BreakPoint でバックとDrop-inデバッグ機能をサポート。

2. javascript_include_tags,stylesheet_include_tagsで:cache => trueの提供。

3. ActiveRecordのQueryキャッシュ機能の提供。

4. テンプレートの種類追加(.erb,.builder)

5. environment.rbの改良

6. マイグレーションの記述を変更。

7. HTTPでの認証機能。

8. plugin generate スクリプトにMITライセンスを加える。

9. 大幅なコード整理。

 migration機能の改良では,

  create_table(:users) do |t|
    t.column(:login,:string)
    t.column(:password,:string)
  end

と記述していたのを,

  create_table(:users) do |t|
    t.string(:login,:password)
  end

と少ないコードで書けるようになる。また

  <% form_tag(:action => 'create') do |f| %>
    <% f.submit %>
  <% end %>

といった記述もできるようになる。

JRubyに関心集まる,Railsも動作

 他にもDave Thomas氏やzefrank氏,RubyGems の主要開発者Chad Fowler氏(今年のカンファレンスは彼が司会を担当していた)など有名な開発者が参加していた。

 JRubyについてもこのカンファンレンスでは何度も耳にした。JRubyはJavaで実装されたRubyインタプリタで,JRubyの主要開発者であるCharles Nutter氏とThomas E Enebo氏は,米Sun Microsystemsに入社し,業務としてフルタイムでJRubyを開発している。

 JRuby on Railsというセッションまであった。スピーカーは他ならぬNutter氏とEnebo氏である。Railsへの対応はまだ完全ではないが,動作するようにはなってきているようだ。

 来年のRailsConfは2008年5月29日から6月1日にかけ,今年と同じ会場のポートランド コンベンションセンターで行われるとのこと。これから来年にかけていくつものRailsアプリケーションが世界中で注目を浴び,Ruby on Railsがさらに盛り上がることを期待している。

◎関連資料
RailsConf 2007公式サイト
RailsConf 2007プレゼンテーション資料
RailsConf 2007 Wiki
Fiickr : RailsConf2007

喜多川 豪(きたがわ ごう)
1978年生まれ。株式会社 ネットワーク応用通信研究所にて主にRubyを利用したWebアプリケーションの開発に従事。著書に「はじめよう Ruby on Rails(監修 高橋征義、共著 かずひこ)」がある。