「覚えやすくて,忘れないのが良いユーザー・インタフェース」(産業技術総合研究所 情報処理研究部門 情報流デザイングループ 主任研究員の増井俊之氏)。「忘れない」は「思い出しやすい」と言い換えてもいいだろう。一度覚えた操作方法をすぐに思い出せればいいのだ。使いやすさは,こうした記憶や理解,判断といった,人間の能力と密接に関係している。
 初めて使う製品を目の前にしたとき,何をするだろうか。まずはそれらしく思える操作を試してみる人が多いのではないだろうか。それでうまくいけば,それがそのままその製品の使い方として記憶に残る。うまくいかなければ,いろいろと試行錯誤を重ねて,やがて正しい操作方法に行き着く。不幸にして,どうにもうまく操作できずに,せっかく買ったものを返品したり,部屋の隅でホコリをかぶらせてしまうこともある。

  • ユーザー・インタフェース――経験が新たな理解を生む(前編)
  • ユーザー・インタフェース――経験が新たな理解を生む(後編)
  • ユーザー・インタフェース――「誰でも使える」は正しいのか(前編)
  • ユーザー・インタフェース――「誰でも使える」は正しいのか(後編)