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失敗しないSaaS導入の心得

日経コミュニケーション

第4回 これだけは押さえておきたい10のチェックポイント(後編)

2007/06/14
小野 亮=日経コミュニケーション
出典:日経コミュニケーション 2007年5月15日号  43ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

SaaS導入に際してのチェック・ポイントとしては,システムの拡張性・柔軟性も挙げられる。さらに,自社のシステムやネットワークが,SaaS利用を意識した環境になっているかも確認しておきたい。

拡張性・柔軟性
将来のシステム連携を視野に入れる

 SaaSが注目された理由の一つは,その拡張性の高さにある。複数ユーザーでシステムを共用するにもかかわらず,ユーザーの要件に合わせてカスタマイズできる点だ。画面や帳票デザインの変更,データベースの項目追加など,カスタマイズ項目は多様。どのようなカスタマイズが必要か,それぞれの重要度とともに分析し,サービス・プロバイダが対応できるかどうかをチェックする必要がある(図1の(5))。

図1●オンデマンド型サービスを利用する前の主なチェック・ポイント
図1●オンデマンド型サービスを利用する前の主なチェック・ポイント
利用するサービスの種類によって確認すべきチェック項目は異なる。

 長期にわたって利用する可能性があるアプリケーションなら,他システムとの連携方法についても確認しておきたい(図1の(6))。サービスの利用開始時点では単体のアプリケーションとして利用していても,将来的に他のシステムと連携させるかもしれない。

 システム連携の方法は主に4種類ある(図2)。「インポート/エクスポート機能の利用」,「専用コネクタを介した特定アプリケーションとの連携」,「サードパーティ製のEAI/ETLツールによる連携」,「サービス提供側のWeb APIを利用した連携」である。これらの連携方法によって,導入の手間やコスト,拡張性が変わってくる。ただし,システム連携の対応状況は,サービスによってまちまちだ。

図2●システムとの連携には大きく分けて4種類の方法がある
図2●システムとの連携には大きく分けて4種類の方法がある
連携方法の違いによって導入の手間やコスト,拡張性が異なる。外部システムとの連携に当たってはどのレベルの連携ができるのか確認が必要。
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 最も簡単なのは,インポート/エクスポート機能を使う方法である。ほとんどのサービスが標準機能として提供している。一括で大量のデータを登録するといったバッチ処理や,自社のWebサイトの問い合わせフォームに入力された情報を,自動で取り込むといった用途に向く。インポート/エクスポートのデータ形式は,CSVやXMLが一般的である。

 社内の業務システムとの接続に使われる連携方法には,「専用コネクタを介した特定アプリケーションとの連携」もある。後述する連携方法よりコストがかからず,インポート/エクスポート機能より柔軟に連携させられるのが特徴である。ただし対象は,SQL ServerやOracleといった主要なアプリケーションに限定される。

先進サービスは高度な連携が可能

 社内にある複数のシステムを連携させるなど,さらに高度な仕組みにする場合には,EAI/ETLツールによる連携方法を使うことが多い。EAIは複数のシステムの統合化を図るツール,ETLはいったんシステム内のデータを抽出して加工してから書き出すといった一連の作業を支援するツールである。GUI操作で設定・管理できる点が特徴である。システム連携を随時変更するような用途にも向いている。

 こうしたEAI/ETLツールは,データ・ウエアハウスが脚光を浴びた数年前から提供されていた。最近ではオンデマンド型サービスへの対応をうたうツールが登場(表1)。数十万円と安価に入手できる製品も登場している。

表1●Salesforce向けの主なEAI/ETLツール
表1●Salesforce向けの主なEAI/ETLツール

 自社開発した業務システムとの連携が必要な場合には,サービス提供側が用意するWeb APIを利用することが多い。呼び出しにはSOAPなどを使う。ユーザー企業はツールを使うなどしてインタフェースを用意する必要があるが,柔軟な連携が可能になる。

 ただ最近は,ユーザー側でゼロから作り込むケースは減ってきた。例えば,セールスフォース・ドットコムのアプリケーション共有サービス「AppExchange」には,開発パートナーが作成した100を超えるコンポーネント部品が用意されている。これを利用すれば,ユーザー側の開発負担は少なく済む。

社内の利用環境
システム連携ではFWの設定を確認する

 最後に,ユーザー企業のネットワーク環境について見ておこう。図6のチェック・ポイントの(7)〜(10)に当たる部分だ。単純な項目では,インターネットにつながるアクセス回線の帯域幅である。1ユーザー当たり100kビット/秒で見積もるなど帯域は余裕を持たせた方がよい。

 社内システムと連携させる場合は,インターネットから社内への通信を許可する必要があるので,ファイアウォールの設定を確認しておきたい。例えばActive Directoryなどの認証システムと連携したシングル・サインオンを実現する場合である(図3)。SaaSと社内システムでシングル・サインオンを実現するには,DMZ(非武装地帯)に認証の中継サーバーを配置する。Active DirectoryのKerberos認証を使う場合なら「751番などのポートを開放してあるか」,というようにファイアウォールの設定を見直しておく必要がある。

図3●オンデマンド型サービスと社内システムでシングル・サインオンを実現することもできる
図3●オンデマンド型サービスと社内システムでシングル・サインオンを実現することもできる
図はオンデマンド型サービスのログインにActive Directory認証を利用する場合の例。認証中継サーバーを新たに設置したり,ファイアウォールの設定変更などが必要になる。

 オンデマンド型サービスでは,利用者のWebブラウザ環境も重要。どのサービス・プロバイダも特定のブラウザを推奨している。推奨以外のブラウザを使っている場合,もともとの指定通りに動かない可能性がある。SalesforceやNetSuiteなどでは,Ajaxを採用しているため,JavaScriptを有効にする必要があることも覚えておこう。

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