セキュアで高性能,省電力,そして管理しやすいパソコン。企業が求める要件をすべて満たしてくれるパソコンが登場している。それを支えるのは「インテル vPro プロセッサーテクノロジー」。インテルが打ち出したビジネス・パソコンの次世代プラットフォームだ。(本誌)

 インテルは2006年4月,ビジネス・パソコンに関して初めてとなるプラットフォーム・ブランド「インテル vPro プロセッサーテクノロジー」注)を発表。9月に同技術を搭載した製品を市場に投入した。vProは,インテルが考えるこれからの企業クライアントの形を具現化したものである。

当初の名称は「インテル vPro テクノロジー」だったが,2007年4月に「インテル vPro プロセッサーテクノロジー」に改めた。

 今,企業において重要視されているのは,情報漏えい防止をはじめとするコンプライアンス(法令順守)だろう。ただ,それだけではない。企業の競争力を高めるにはパソコンのモバイル利用を許可したり,使い勝手を高めたりして社員の生産性向上を図る必要がある。一方でコスト抑制の圧力は依然として強い(図1)。

図1●ビジネス・クライアントに求められる視点
図1●ビジネス・クライアントに求められる視点

 システム/ネットワーク管理者は,こうした経営課題を解決できるソリューションを求めている。その鍵を握るのが,社員一人ひとりが実際に操作するクライアント・パソコンの進化。vProはその有力候補になる。

待ったなしの情報漏えい対策

 パソコンやリムーバブル・メディアを通じた重要情報の漏えい事件が後を絶たない。新聞やテレビでは,連日のように情報漏えいに関するニュースが報じられている。

 日本ネットワークセキュリティー協会(JNSA)の調査によると,情報漏えいの経路として最も多いのは紙媒体で,全体の半数近くを占めている(図2)。しかし,パソコンやリムーバブル・メディアによる情報漏えいは,一度に流出する情報量が多いこと,複製が容易で深刻な2次被害を招きかねないことにより,大きな注目を集める結果となっている。

図2●情報漏えいの経路
図2●情報漏えいの経路
日本ネットワークセキュリティー協会調べ。「2005年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告」より抜粋。

 機密情報の漏えいによって,企業は情報そのものを失うばかりでなく,情報漏えい企業というレッテルを張られる。そのために失う信頼は計り知れない。特に個人情報に関しては,2005年4月1日に全面施行された個人情報保護法により,取り扱い企業に適切な管理が求められている。問題が起これば業界ごとの監督官庁から改善命令を受け,それでも改善しなければ罰則を課せられる。情報が蓄積されたパソコンは企業にとって強力な武器になる半面,運用や管理を誤ると深刻な経営リスクをもたらすものになりかねないのだ。

 パソコン経由の情報漏えいがなくならないのは,要因が多様で対策に抜け穴が生じがちなためである。情報漏えいの要因には,パソコンそのものの紛失,盗難など物理的なものもあれば,コンピュータ・ウイルスやワームのような悪意あるソフトウエアによる漏えい,ネットワーク経由の攻撃による情報盗難といった電子的なものもある。最近では,Winnyなど特定のピア・ツー・ピア型ソフト(ファイル交換ソフト)に寄生するコンピュータ・ウイルスを原因とした情報漏えいが目立つ。いつどこから漏れるか分からない。

 こうした情報漏えいリスクを軽減するには,特定のミスや攻撃パターンへの対策を積み重ねるだけでは不十分である。個別の対策をバラバラに積み重ねると,その管理が煩雑になる。そればかりか,対策と対策の隙間に思わぬセキュリティ・ホールを生み出す危険性がある。コストと効果の両面から,うっかりをなくし多様な脅威に対抗できる包括的なセキュリティ・ソリューションが求められている。

業務効率を犠牲にしてはいけない

 業務の効率化や生産性向上といった観点もビジネス・クライアントには重要である。本来,ビジネス・クライアントは「業務の効率化」あるいは「新しいビジネスの創造」のために存在する。

 にもかかわらず現状は,セキュリティ対策を重視するあまり,本来の目的がおろそかになりがち。これでは意味がない。セキュリティ対策が企業にとって欠かせない要素であることは確かだが,これが現場の業務にムダや非効率を生み出してしまっては本末転倒である。