国際自動車の下山慶太・取締役本部長
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 「悩んだけれど、その時が来たのかなと思った」と2年前の転身を振り返るのは国際自動車の下山慶太・経営管理本部取締役本部長だ。経営管理本部には、総務や経理、IT(情報技術)といった業務が含まれる。下山本部長は同社の間接部門をまとめつつ、CIO(最高情報責任者)としてIT戦略を担っている。

 下山本部長は、監査法人での公認会計士を皮切りに経営コンサルタントとして十数年にわたって大手企業をクライアントに活躍してきた。「微力ながら泥臭くやってきたつもり。ただ、深く深くクライアントの経営にかかわるようになるにつれて限界を感じるようになっていた」(下山本部長)。そんなときに声をかけてくれたのが国際自動車だった。「いつか経営を実行する側に回りたい」と考えていた下山本部長は転身を決意した。

 同社はタクシー業界でもIT投資には熱心な企業だ。2003年6月には業界初となる「デジタルGPS無線システム」を導入。2006年12月には6億円を投じて「マイタクシーカード」の磁気化に踏み切っている。これによりカード会員の自宅などの目的地がカードリーダーで簡単に読み取れてカーナビで確認できるようになった。タクシー業界の「流し」という営業スタイルは、運転手の経験や勘に売り上げが左右される。優良顧客を囲い込めば収益も安定する。

 CIOとしての今後の目標は電子マネーによる支払いシステムの導入だ。「2008年3月までには全車に対応させたい」と下山本部長は意気込む。公認会計士からの転身というCIOは「タクシー5000台を目指す」という国際自動車の攻勢に追い風を吹かせることができるか。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・ITの技術的な側面を説明するのではなく、なぜそのシステムが必要なのかを社長に限らず社内には話すようにしている。システムを構築する際、どのような優先順位をつけて取り組むかを周囲に伝えることでコミュニケーションでのギャップが生じないようにしている。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
 コンサルタントだった時代から思うが、ベンダーは会社ではなく人による。1人でも多く、良い人材を育ててほしい。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経産業新聞
・日経金融新聞
・週刊ダイヤモンド
・ハーバード・ビジネス・レビュー
・日経キッズプラス
・ナショナルジオグラフィック
・日経情報ストラテジー

◆最近読んだ本
・「頭の体操」(多湖輝、光文社)

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
会計関係のサイトで新しい動きをチェックすることはある
日経ネット
Google

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・日経情報ストラテジーCIO倶楽部
・スーパーCFOクラブ
・社外取締役協会

◆ストレス解消法
・音楽鑑賞
・庭いじり
・4歳、5歳、8歳の子供と遊ぶこと