ジャンル:統合開発環境 作者:Eclipse Foundation氏
ライセンス:Eclipse Public License URL:http://www.eclipse.org/

 Eclipseは,JavaやC/C++などのさまざまな言語に対応する統合開発環境だ。有償の開発ツールと比べてもそん色がないほど,豊富な開発支援機能を備える。WindowsやLinux,Solaris,Mac OS XなどのさまざまなOS上で動作する。

 Eclipse(写真1)は,エディタやコンパイラ,デバッガなど,プログラミングに必要なツールを統合して扱える,オープンソースの統合開発環境である。米Object Technology International社と米IBM社の共同プロジェクトが1999年4月に開発を開始した。2001年11月には,Eclipseの開発コミュニティである「Eclipse.org」にソース・コードが寄贈され,オープンソース化された。それ以来Eclipseは,Javaの開発者を中心に広く利用されている。例えば,ソフトウエア開発に関する市場調査会社である米Evans Data社(EDC)の調査*1では,「EclipseがLinux上の開発ツールとして最も広く利用されている」と報告されている。利用率は2004年8月時点で3割を超えているという。

写真1●Eclipseの起動画面
写真1●Eclipseの起動画面
起動直後の画面。「ようこそ×」タブやワークベンチをクリックすれば,プログラムの開発画面が表示される。

 Eclipseの利用が進む理由は,(1)無償で利用できること,(2)有償の開発ツールと比べて機能と品質の両面でそん色がないこと,(3)WindowsやLinux,Solaris,AIX,HP-UX,Mac OS XなどさまざまなOSで動作すること,そして(4)「プラグイン」という小プログラムをEclipseにアドオンすることで機能拡張できること――である。

 Eclipseは現在,非営利組織の「Eclipse Foundation」が開発している。Eclipse Foundationについては,文末の囲み記事「Eclipse Foundationの概要」を参照されたい。

プラグインでさまざまな言語に対応

 Eclipseの構造を図示すると図1のようになる。Eclipse自体は,「Eclipse SDK」(図1の青色で表した個所)として配布されている。「プラットフォーム・ランタイム」は,OSごとに用意された,Eclipseの実行環境である。その上に,「ワークベンチ」と「ワークスペース」,「ヘルプ」(ヘルプ・ドキュメント),「チーム」(共同作業用の機能),「デバッグ」(デバッガなど)が搭載される。

図1●Eclipseの構造
図1●Eclipseの構造
Javaの開発ツール「JDT(Java Development Tools)」とプラグイン開発環境「PDE(Plug-in Development Environment)」は,プラグインとして標準実装される。

 Javaの開発ツール「JDT(Java Development Tools)」とプラグイン開発環境「PDE(Plug-in Development Environment)」は,プラグインとして標準実装される。このように,Eclipse SDKにはJDTが含まれるため,EclipseはJava専用の開発環境と思われがちだ。しかし,JDTは標準で含まれるものの,あくまでプラグインである。EclipseはJavaに特定の開発環境ではなく,プラグインを追加することでさまざまなプログラミング言語に対応できることを強調しておく。

 プラグインは有償,無償を含めると,1000種類を超える。数が多いだけでなく,J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition),各種開発言語(C/C++やCOBOLなど),データベース設計や操作,GUIビルダー,プロファイリング,モデリング,構成管理支援,設計・実装・テスト――など,ソフトウエア開発における各工程用のプラグインが提供されている。

Eclipseと関連ソフトの入手

 Eclipse SDKは,次のような手順で入手できる。Eclipse Foundationのサイト(http://www.eclipse.org/)にWebブラウザでアクセスし,上部タブ・メニューの「Downloads」をクリックする。すると,Webブラウザを動作させているPCのOSが自動判別され,そのOSに合ったEclipse SDKのリンク先が表示される。例えば,Linuxでは「Download now: Eclipse SDK 3.1.2, Linux(99MB)」(これ以降に示す,バージョン番号やリンクは2006年6月中旬時点の最新版)と表示される。

 このリンクをクリックすると,開いたページ上部に「Download from:[Japan]Ring Server Project(http)」のリンクが表示される。このリンクをクリックすると,Eclipse SDKのダウンロードが始まる。

 入手したEclipse SDKを動作させるには,バージョン1.4以上のJavaの実行環境(ランタイム)が必要になる。Eclipse Foundationのサイトには,Javaの各種ランタイムへのリンクも掲載されている。ここからリンクをたどって,手元のシステムに合った「JRE」(Java Runtime Environment)または「J2SDK」(Java 2 Software Development Kit)を入手しよう。

 また,「このページ」から入手できるバージョン3.1.x用言語パック(「NLpack1_FeatureOverlay-eclipse-SDK-3.1.1.zip」と「NLpack1-eclipse-SDK-3.1.1a-gtk.zip」の2種類)を導入すると,メニューの日本語化ができる。これらもリンクをたどってダウンロードしておく。