372社という膨大な数の企業を抱える松下電器グループ。従業員数は33万人に上り、7割(約20万人、224社)は海外にいる。業績は好調で、高い技術力を持つため、産業スパイに狙われる可能性も高い。よほどしっかりとした管理体制を敷かなければ、情報漏えい事件の発生は避けられない。実際、2002年から2003年ごろに多数の事件が集中した。

 そこで、中村邦夫社長の強力な後押しを受けて2004年1月に情報セキュリティ本部を設立。グループ全体の情報管理体制を徹底改革した。「30/300/3000人体制」「グローバルISMポリシー体系」「管理レベル基準」などの仕組みを導入して、中村社長が目指す「セキュリティーに世界一厳しい会社(企業グループ)」に近づいている。情報セキュリティーに関連した事件の発生リスクは低くなり、さらに2億2000万円もの情報管理コストを削減する部門も出てきた。

  • 社長が「プロを集めてこい」と指示 <上>
  • 国内の管理レベルを「3」に <下>