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記者のつぶやき

Vistaの配達まで120日に渡る駆け引き、あるPCユーザーの孤独な闘い

市嶋 洋平=日経コンピュータ 2007/05/25 日経コンピュータ
写真●筆者に送られてきた編集途中の文書
写真●筆者に送られてきた編集途中の文書
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 5月8日、筆者の手元にやっと「Windows Vista」のアップグレード・パッケージが届いた。1月7日に“注文”を始めてからまるまる4カ月。このてん末についてご報告したい。

 筆者がアップグレード・パッケージを注文したのは、昨年末にノート・パソコンを買い換えたから。記者会見などで記事執筆に使う業務用だ。頑丈、軽量、電池の持ち、などを考慮して松下電器産業の「Let's Note」を購入した。Vistaの発売まで1カ月あったが、「仕事柄、Windows Vistaはいつか使うことになるだろう」とアップグレード・キャンペーンの対応機種を選んだ。昨年10月26日から今年3月15日までに、対象となるWindows XP搭載PCを購入したユーザーが申し込める制度である。

 ここから世界のリソースを利用してユーザーに様々なサービスを提供する“ワールド・イズ・フラット”の現実に巻き込まれ、苦難の日々が始まった。

申し込みサイトで長期の障害発生

 1月7日。アップグレードの申し込みに臨んだ。その時は松下の提示していた「2月上旬から随時発送」を楽観視していた。

 松下のメーカーのWebサイトから、マイクロソフトが運営していると見える、「注文サイト」にリンクでつながる。注文サイトでは、ノートPCの底面に記されているID番号(正確には「COA ID」という)を入力すると、最終画面に進むことになっている。しかし、10回以上ID番号を入力したが、認証されない。

 「もしかしたら、自分は入れるべきID番号を間違っているのだろうか・・・」

 そこで、サイトの運営を含め、マイクロソフトからキャンペーンの委託を受けていたモーダスリンクのアドレスにIDの入力で困っている旨を電子メールで送る。モーダスリンクからは1週間、音沙汰がない。

 1月13日、再度モーダスリンクに電子メールを送る。数日後、同社の担当者から電話がかかってくる。日本語はうまいが国内のオペレーターではないとすぐに分かった(後で分かったが、フィリピンでオペレーションをしていた)。先方は「ID番号を入力できるようにしました。失敗したら数時間後に試してください。成功しておられるかたもいますよ」と言う。そこで試してみるが、だめだった。同社に失敗したとのメールを送る。

1カ月以上かけて初期画面クリア

 その後、同社の日本人と思われるオペレーターから電話がかかってくる。「そうしましたら私が社内のつながりやすいサイトからID番号を代わりに入力します。特別な措置です。内緒ですよ」と言う。

 筆者は“わら”にもすがる思いで、その措置をお願いした。しかしその担当者は「あっ。だめですね。こちらもつながりません。後ほど入力して、ご連絡します」と電話を切った。特別なサイトも、何らかの問題を抱えているらしい。

 2月10日。同社からメールが来る。筆者は「やっとか」と思ったが、文面は「ご登録状況を確認いたしますのでお客様のID番号をお知らせください」とのこと。

 特別なサイトでID番号を入力してくれるという話は、なかったことになっていた。ここまでで1カ月。既にWindows Vistaの出荷は始まっていた。

 2月14日。同社から「現在、システムの確認をしております。ご入力可能になりましたら改めてご連絡させて頂きます」との電子メールが来る。やはりシステム自体が問題だったようだ。

 その後、お知らせはなかったが、頃合いを見てWebサイトでID番号を入れてみると、入力が可能な状態だった。そして2月27日、晴れて代金を支払えるようになった。

今度は筆者も含め100人以上のアドレス漏えい

 3月6日、オール英文のメールがモーダスリンクから突如として送られてきた。メールの内容は驚くべきもの。いまさら「ID番号が入力できるようになりました」との趣旨のメール。「遅いよ・・・」

 そして、筆者はつい最近気づいたのだが、同メールのCCフィールドには113人分のメールアドレスが並んでいた。筆者のほか、日本の大手ITベンダーや大学のアドレスが記されていた。

 3月14日、今度は編集途中と思われるメールの文書が送られてきた(写真)。アップグレードに申し込んだ未入金者に対して振り込みなどを促すメールを作っていたようだ。

 偶然、筆者は同日に銀行から代金を振り込んだので、メールでその旨を伝えておく。その後も、振込先の銀行口座の変更など、混乱に輪をかけるようなメールが飛んでくる。

 「果たして、自分の入金は認識されているのだろうか」。不安になってくる。やり取りしている途中から、自分の個人情報の保護は大丈夫だろうかといった不安も増幅されていく。筆者は代金の支払いを自分のクレジット・カードではなく、同社口座への銀行振り込みを選択した。

後手に回ったMSとPCメーカー

 こうしたやり取りと並行して、筆者はPCメーカーである松下に「委託先の対応があまりもひどすぎます。御社でVistaのパッケージを用意して、送っていただけませんでしょうか」とのメールを送っていた。これに対して、迅速な回答をしていただいた。日曜日でもメールの返事が返ってくるのにも驚いた。しかし、松下の担当者もモーダスリンクとやり取りするのが精一杯だったようだ。他のPCメーカーも同様だろう。

 サポートの品質はパソコンのユーザーにとって重要な要素。製品を選択する際の有力な指標でもある。今回の事態は避けられなかったのか。モーダスリンクは米国が本社だが、日本法人を持つ。一連の混乱について、日経コンピュータの記者として取材した。

 同社の日本法人は「米国の本社で一括して請け負っているもので、コメントする立場にない。コールセンターなどのオペレーションはすべてフィリピンでやっている」とする。しかし、配送は神奈川・厚木にある同社の拠点が担当している。これについては「日本での配送は、指示通りに業務をしていた」(同)と述べるに留まる。

 マイクロソフト日本法人にも聞いた。

 同社の広報担当は「ご迷惑をおかけし、期待を裏切ってしまったユーザーには申し訳ない。今回のアップグレードキャンペーンは、マイクロソフトの米本社と各PCメーカーが共同でユーザーに提供しているもの。米本社がワールド・ワイドでモーダスリンクと契約し、業務を委託している」と説明する。また、「1月以降、直接の契約関係にはないのだが、モーダスリンクの米国本社と話をして状況の把握に努めた。オペレーションの改善に向けた助言もした」(マイクロソフト広報)と言う。

 一方,メールアドレスの漏えいについては「モーダスリンクからメールと文書でユーザーに謝罪したとの報告を受けている」(同)と言うが、筆者に限れば何も届いていない。

 結果からすれば「2007年2月上旬以降の発送」としていたものが、筆者の場合は「5月上旬以降」だった。他の多くのユーザーにとっても、想定外の遅延だったことだろう。例えば、企業でVistaの導入評価をしようとしていたIT部門やITベンダーのユーザーにとっては、大きな後れになった。筆者はWindows XPで環境を整えて4カ月も使ってしまった。Vistaに移行しようか迷っている。

 一連のトラブルに関して関係各社から、ユーザーとしての筆者に正式なお詫びは今のところ一つもない。

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