訪問者の滞在時間。アクセス解析を熱心にやっている方であれば耳慣れた言葉かもしれません。「ここに16秒も滞在している!これって記事を全部読んでる?」なんて訪問者がそこで何をやっているか、どんな行動をしているのか、を懸命に考えてみたりするわけですがその一方で時間とはマジカルなもの。楽しい時間はあっという間に過ぎるし、なにかに集中しているときには、時間が経つのを忘れる。人間が過ごす時間とは、実はその時々によって、まったく違う体験をもたらしたりします。
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こんな不思議な時間と体験をテーマに過去と未来のイノベーションを描くWebサイトが、東芝の企業ブランドコンテンツ「one hour」。「命を、守る-For your life」、「思い出よ、鮮やかに-Memory」、「未来を、照らす-Light up the way」、「食を、革命する。-IT Cook」と題された4つの短編ストーリーで、東芝の製品、その歴史、技術の展開、その想いを伝える、真っ向勝負の「正統派」Webブランドサイトです。
このWebサイトが面白いのは正当な東芝のコンテンツをユーザーに見せたあとで東芝は1時間でこんなことしているけどあなたは1時間をどう感じるの?どう過ごすの?と問いかけて、記入させる点。
そうか、そうだな、1時間は「おひるね」の時間です
と、書き込んでみたところ
あなたがこの東芝のコンテンツを体験した時間は「23分54秒です」と言われます。
この原稿を書くためにうっかり20分も見てしまった!!とか思いつつもその体験時間を表現するビジュアルがミラーボールのようにきれいにくるくる回っているのでまたずっと見てしまったのですが、が、実は、これ、もしかしたら「滞在時間」を増やすためのトリックなのかもしれない、と気付きました。
ある体験を「数字」という客観的な文字列で表現されると自分固有のオリジナルの体験をしたような気がする、貴重な体験をしたように感じるので印象が深くなりやすい、記憶に残りやすいということなんではないか、と。
この1時間も誰かの未来を照らすために東芝-Leading Innovation-このメッセージを伝えるためにユーザーのWebサイトでの体験を印象づける、そして、訪問者の滞在時間という数値としての成果も出す。企業ブランディングのためのWebサイトの在り方として「体験」を十二分に意識した秀逸なデザイン表現であると思います。
●今日のまとめ
体験を印象づけるために、数字を使うデザイン
執筆: 株式会社キノトロープ 坂井とわ子
http://www.kinotrope.co.jp/
著書: 「Webデザインワークフロー」ウェブクリエーターズバイブルシリーズ(ソフトバンククリエイティブ刊)
http://www.kinotrope.co.jp/pressroom/book/index.shtml
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