コンテンツの整理

 先回は、いかにコンテンツ、特にオリジナル(企画)コンテンツが重要かということを述べさせていただいた。

 ウェブサイトから提供する情報をどのようなもの(種類)にするのか、そしてどのようなラインナップ(時系列でも考えて)にしていくのか。このあたりは放送局の編成の仕事にも似ている。また、その量にもよるが、それらのコンテンツをどのような考え方で分類し、どのような名称でインデックスするのかも非常に重要なポイントとなる。

 これは、大量のコンテンツを所蔵している図書館などで運用されている図書整理学等に相通じるものがある。ウェブ上のコンテンツ整理はこのように、従来からのあらゆる分野で構築されたノウハウや方法論の組み合わせからあらたな手法が導き出せそうでもある。

ラベリング

 典型的な例では、表紙のインデックス(目次)。ここに、そのサイトすべてのコンテンツの分類の考え方が現れ、しかも、それらは同時にすべてのコンテンツへの入口となる。この分類に対して名称を付けることをラベリングと呼ぶ。ラベリングされた項目はインデックスとして表示されるわけだが、このインデックスはお客様が目にして、意味を解釈し、何らかの行動へ導くきっかけとなるため、その具体的表記の責任は極めて大きい。

 実際の例から紹介しよう。例えば、日本国内向けの製品の紹介や情報をまとめたコンテンツ群へのラベリングとして

Products、 プロダクツ、 製品情報、と三種類の表記例を考える。

 大した違いはないように一瞬思われるが、これが非常に大きな違いとなって現れる。実際に計測すると日本では Products < プロダクツ < 製品情報 の順にアクセス数が変化する。ここからわかることは、日本人に向けたインデックスは日本語で表記するほうがアクセスが増える。

 なんだ、当たり前じゃないか‥‥。といわれるかもしれないが、私の経験ではここまでくるのに試行錯誤の時間がかかった。

同様に、Music < ミュージック < 音楽
Movie < ムービー < 映画
などもいい事例である。

 このように、ちょっとした表記の違いであるが、これが以外にも大きな違いを生む。したがって、どんなに小さな表記、しかも表紙上での表記であれば、できるだけ、より分かりやすい日本語表記はないかということを常に念頭に置いて制作されることを推奨する。サイトコンセプトの違いにより、ある一定のクラスター(層)を狙って、絞っていくようなサイトであれば、この逆を実施すればいいのである。

分類

 コンテンツが少ないうちはそれほど苦慮することもないようだが、増えるに従って、その分類の考え方をしっかり定義しておかないと、送り手側も、受け手側も混乱し、結果、サイトの評価、ひいてはその会社の評価も下がることになる。インデックス表記とその下に分類されるべきコンテンツのジャンルさらにはその配下となるコンテンツ群に関して、定義し、ドキュメント化しておくと担当者による認識の差などによる分類のばらつきが激減する。

 分類で最もまずいのは、『その他』だ。分類にその他というジャンルはない。ものごとは必ず何らかのジャンルに分類できる。しかも、インデックスに『その他』などとラベリングするのは最悪のケースといえよう。送り手側で分類できなかったコンテンツを、受け手側がイメージしてアクセスすることができるだろうか?

 お客様は、『その他』に何だかわからないままアクセスし、その結果、「なんだこんなコンテンツなのか」、とか、「なんだこれ?」などという反応を示すはずだ。その結果、その企業のイメージが急激に低下するのである。『その他』というインデックスをつくったばっかりに、イメージダウンしてしまった‥‥。

 そのようなことにならないよう、どのような小さな項目に対しても、細心の注意をはらい、ラベリングしていく。このような積み重ねを、コンテンツ制作者すべてが考えるようになり、実行され始めると、そのサイトは以前よりきっとなんらかの形で良くなっているはずである。