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当時、ネット関連ビジネスはNSWでは傍流だった。既存の顧客層とは関係なく、これはと思う企業を見付けては飛び込み営業をかけた。訪問先企業の沿革から現在の業績、中長期経営計画まで徹底的に調査し、その会社のネットビジネスはどうあるべきかを熟考。その上で提案シナリオの台本を作り、想定する問答集まで事前に考えてから商談に臨む。
周到な準備は、「営業は役者」という杉山の持論の表れ。顧客の立場(=主人公)になりきるという意味だ。「自分はシステムインテグレータではなく、お客様の業界の人間なんだ、その立場でものを考えるんだ、と自己暗示にかけ、場面に合わせて演出しきることが大切」と言う。
なりきり方が堂に入っていて、プライベートで飲みに行っていても、隣り合わせた客に顧客企業の商品をアピールするほど。「顧客企業の売り上げが拡大すれば、副次的に自社の売り上げも伸ばせる」と考えている。その企業のファンにもなる。あるキャラクターメーカーでは、その会社が展開するキャラクターをすべて覚え、自分の営業鞄には気に入ったもののストラップを付けた。そんな杉山に顧客企業は「そこまで理解してくれている相手になら任せられる」と安心する。
杉山の部門はこの5年間、倍々ゲームの伸び率を達成。今期の売上目標は20億円を超える。実績を評価されて同社最年少の営業統括部長に昇進した。今後は、顧客のネットビジネスと連携できる消費者向けサービスにNSW自ら乗り出したいと、構想はふくらむ一方だ。
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