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第18回:「テクノロジスト」の社会的認知が必要「IT革命」について、ドラッカー氏は次のように書いている。 「IT革命とは、実際には知識革命である。諸々のプロセスのルーティン化を可能にしたのも機械ではなかった。コンピュータは道具であり、口火にすぎなかった。ソフトとは仕事の再編である。知識の適用、特に体系的分析による仕事の再編である。鍵はエレクトロニスではない。認識科学である」
引用した下りが出てくる論文は、1999年に発表されたものだ。エレクトロニスで大革命が起きるような報道を続けた日米のメディアは、この論文の発表時に熟読すべきであった。いや、今から読んでも遅くはない。IT革命に代わって最近は、ユビキタスなんとかという言葉が飛び交っているからだ。 まさに出現しようとしている新しい経済と技術において、リーダーシップをとり続けていくうえで鍵となるものは、知識のプロとしての知識労働者の社会的地位であり、社会的認知である。もし万が一、彼らを昔ながらの社員の地位に置きその待遇を変えなければ、製造テクノロジストを職工として扱ったかつてのイギリスの轍を踏むことになる。その帰趨も同じところになる。
ドラッカー氏の指摘の中で、もっとも印象に残る一節である。システムズ・エンジニアの社会的地位と社会的認知。残念ながら、いまだに日本の課題と言える。このままでは来るべき社会において、日本はリーダーシップをとれないことになる。 テクノロジストは、マネジメントすることを好まない。むしろ、それぞれの世界で技術や科学の仕事をするほうを好む。(中略)その結果、企業、政府機関あるいは研究所においてさえ、テクノロジストでない人たちがテクノロジストをマネジメントすることが多くなっている。(中略)私自身テクノロジストでない者の一人として70年近くも前から、テクノロジストでない人たちにテクノロジストの仕事を理解させることの重要性を意識してきた。しかもテクノロジストとマネジメントの人たちの不調和を目にしてきた」
同書は、テクノロジーのマネジメントに関する論考を集めたもので、「理系のためのドラッカーであり、かつ文系のための技術論」(編訳者後書きより)となっている。この巻頭文は普遍的な問題提起と言える。 (ドラッカーのIT経営論研究グループ) ドラッカーのIT経営論研究グループ:社会生態学者、ピーター・ドラッカー氏の情報およびITに関する論考を読み解くことを目的とした有志の集まり。主要メンバーは、ドラッカー学会に所属するIT産業関係者である。 連載新着記事一覧へ >>
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