社内の情報伝達を徹底させる手段として、サーバー型のRSS(RDF/Rich Site Summary)リーダーが注目を集め出した。情報共有策として、ブログを導入する企業が増えていることが背景にある。グループウエア製品などでもRSS対応が進み始めた。

日経コンピュータ2006年5月15日号の記事を原則としてそのまま掲載しています。執筆時の情報に基づいているため、社名や登場人物の肩書きを含め現在は状況が変わっている可能性がありますが、SaaSやEnterprise2.0の動向に興味のある方に有益な情報であることは変わりません。

 サッポロ飲料は2006年4月、社内ブログの立ち上げと同時に、サーバー型RSSリーダーを導入した。営業情報や新商品の発売情報、顧客窓口への問い合わせ内容など7種のブログを用意。閲覧だけでなく、500人いる全社員が書き込むことによる情報の充実を目指す。

 ブログを閲覧するだけなら、クライアントにインストールする一般的なRSSリーダーで問題ない。しかし、7種のブログすべてを社員に自分でチェックさせると逆に、業務効率が下がりかねない。そこでサーバー型RSSリーダーでブログの更新情報を集約し、操作負荷を下げながら社員の情報共有を徹底する。「勤怠管理や経費精算といった業務用サイトも、サーバー型RSSリーダー経由でしかアクセスできないようにした」(経営戦略部)。

 日本テレコムも06年5月末に、サーバー型RSSリーダーを導入する。社内ブログの試行段階で、散在するブログ情報を社員に伝えるには集約機能が必要だと分かったからだ。独自にサーバー型RSSリーダーを開発し、社内ポータル・サイトに組み込む。

 両社のほか、カシオ計算機や価格比較サイトのECナビなどが、社内の情報共通を図るためにサーバー型RSSリーダーを導入している。ブログ事業を展開する日立製作所によれば、「数千人規模の企業が複数、ブログ+サーバー型RSSリーダーを導入中」という。

 サーバー型RSSリーダーは、クライアント・パソコンに組み込む必要があったRSSリーダーの機能を、サーバー側で実行するソフト。個々人が参照したい RSS情報を指定したり、情報システム部門などの管理者がRSSフィードを選択し、社内で共有したい情報を一元管理したりできる(の上)。

図●情報を集約するポータル(玄関口)になり始めたサーバー型RSSリーダと主な製品(下表)
図●情報を集約するポータル(玄関口)になり始めたサーバー型RSSリーダと主な製品(下表)

 企業は今、社内ブログへの関心を高めている。サッポロ飲料が狙う社員間の双方向の情報共有や、社外にも有用なブログ情報が急増しているからだ。サーバー型RSSリーダーには、こうした情報の集約を期待する。

 ニーズの高まりを受け、サーバー型RSSリーダー製品も増えている(図中の表)。サイドフィードが06年3月に「FreshReader」を発売。先行する日立も今夏、管理機能を強化した「BOXERBLOG Sonar」を発売する。

 グループウエアやEIP(企業情報ポータル)ソフトなどのベンダーもRSS対応を急ぐ。サイボウズがグループウエア「ガルーン2」にRSSリーダー機能を組み込んだほか、ドリームアーツは年内にもEIPソフト「INSUITE」にRSSリーダー機能を搭載する。

 今後は、インターネット上だけでなく、企業内でもRSS形式での情報のやり取りが増えそうだ。