2006年に初めて実施した「映画のストーリーにあるような脅威」コンテスト。テロリストの攻撃について，恐怖と奇想天外に富んだいかにもありそうな筋書きを考えるようお願いした。寄せられたエントリーはすべて読み応えのあるものだったが，爆発物を積み込んだ飛行機をグランド・クーリー・ダム（米ワシントン州にある北米最大のコンクリート・ダム）に突っ込ませるというアイデアを披露したTom Grant氏が受賞者となった。
2回目にあたる今年のコンテストは，少し趣が異なる。飛行機を爆発させるというもっともらしい筋書きが，本来は無害なものまで禁止，あるいはスクリーニングする動きへとつながってしまうことは周知の事実だ。馬鹿げた対応ではある。銃や爆弾を取り締まったことで，テロリストはカッター・ナイフを使用した。カッター・ナイフや小型ナイフを禁止したら，彼らは靴に爆発物を忍ばせた。靴のスクリーニングを始めると，液体を利用することを考え出した。現在は（専門家が疑問視するにもかかわらず）液体を没収するようになっているが，テロリストは今後別のやり方を実行するだろう。このいたちごっこに勝利することはできない。それなのに，なぜ我々は対抗しようとするのか。
それは，我々がそうしたいからだ。そしてあなたも，コンテストを通じてこのいたちごっこに参加できる。ゴールは，「よくある携帯アイテムを凶器として用い，飛行機をハイジャックまたは爆発するテロリストの筋書き」を考えること。このアイテムは筋書きにおいて重要な意味を持つため，米運輸保安局（TSA）は筋書きが公表されたらこれを禁止するしかないだろう。恐怖と奇想天外に富みながらも，真剣にとらえざるを得ないような筋書きを拝見したい。
腕時計，ノート・パソコン，ポリエステル，あるいは長さ3インチ（約7.6センチ）のファスナーなどをTSAに禁止させる，そのアイデアを生み出すのはあなただ。
寄せられたエントリーは，TSAが禁止せざるを得ないような一般的なアイテムかどうかや，筋書きの巧妙さを審査する。現実味のある内容であることとし，サイエンス・フィクションは受け付けない。そして，読み物としてまとまった形であること。第1回の優れたエントリーは，いずれも読み応えのあるものだった。
前回と同様，攻撃者のプロファイルは9月11日のテロリスト集団，すなわち20～30人の非熟練者で，スキルや装置などにかけるお金は約50万ドルと想定する。
筋書きの投稿，および他の投稿の閲覧はブログ上で行う。
審査は私が行うが，ブログのコメント欄に寄せられた反響も考慮する。受賞者には拙著「Beyond Fear（邦題：セキュリティはなぜやぶられたのか）」のサイン本を進呈する。仲間からも熱い視線を浴びることになるだろう。さらに，私がうまく処理することができれば（去年はできなかったが），本物の映画プロデューサーから電話がかかってくる。
エントリーの締め切りは今月末の4月30日。コンテストの発端はたわいないユーモアだが，私としては一石を投じることも望んでいる。テロリズムは現実の脅威であるが，我々はもはや安全対策を通じてしか安全を確保できない。そのためには，テロリストが次に何を仕掛けてくるか正しくとらえることが求められているのだ。
ブログへの投稿記事：http://www.schneier.com/blog/archives/2007/04/...
液体を利用した脅威，という筋書きの怪しさ：http://www.schneier.com/blog/archives/2006/08/...
第1回コンテストの様子：http://www.schneier.com/blog/archives/2006/04/...
http://www.schneier.com/blog/archives/2006/06/...
Copyright (c) 2007 by Bruce Schneier.
◆オリジナル記事「Announcing: Second Annual Movie-Plot Threat Contest」
◆「CRYPTO-GRAM April 15, 2007」
◆「CRYPTO-GRAM April 15, 2007」日本語訳ページ
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◆この記事は，Bruce Schneier氏の許可を得て，同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO（最高技術責任者）です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり，2006年10月に英BTの傘下に入りました。国内ではインテックと提携し，監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています
