IT業界歴が長いなら,Exchange Serverの先駆けである「Microsoft Mail」をご存知だろう。この製品は,Microsoftのプレゼンテーションで筆者が不覚にも睡魔に襲われた唯一の製品だ。Microsoft Mailはバージョン3.5まで作成されたので,Exchangeの最初のバージョンは新製品にも関わらず「4.0」として1996年にリリースされた。その後の10年間で,ExchangeはMicrosoftのメッセージング・ソリューションの代表格になった。

 Microsoft MailとExchangeの最大の違いは,Microsoftが社内でExchangeを利用していることである。これは良い兆候だ。Exchangeはこの数年間で劇的に成長しており,最新製品である「Exchange Server 2007」は目覚しい進化を遂げた。コンポーネント化されたアーキテクチャ,ロールベースの配備モデル,完全な機能を備えたコマンドラインとスクリプティング機能--。ほとんどすべての環境に対応できる機能を装備するまでに拡張されたのだ。

 これらの改善の鍵は「統合メッセージング(ユニファイド・メッセージング)」という概念である。Exchange 2007は,従来の電子メール,カレンダー,仕事リストなどに加えて,留守番電話とファクスにも対応した。しかし実際はExchange 2007でさえ,統合メッセージングの「はじめの一歩」にしか過ぎない。

 将来的に統合メッセージングは,内外のビジネス・コミュニケーションを一元的に管理するようになる。電話,留守番電話,ファックス,インスタント・メッセージ(IM)は,電子メールと同様にきわめて重要である。これらはすべて,同僚や取引先と連絡を取るための異なる手段であり,それぞれにメリットとデメリットがある。また通常,これらのコミュニケーションには,従来の電話,ファクス,PC,スマートフォン,ポータブル・デバイスなど,異なる機器が必要になる。

Office Communications Serverの開発もExchangeチームが

 もしExchange 2007が将来への最初の一歩であるならば,「Microsoft Office Communications Server 2007」の次期バージョンは「次の一歩」であるといえるだろう。最近行われたMicrosoft社内の組織再編によって,Office Communicator 2007のクライアント・ソフト,会議サービス・ソフトの「Office Live Meeting」,さらには「Microsoft Office RoundTable」なども合わせて,Office Communications ServerがExchange開発チームの下で開発されるようになった。なおMicrosoft Office RoundTableとは,360度カメラを使って複数のユーザーが遠隔地から会議に参加できる面白いソリューションである。

 Office Communications Server 2007は「Live Communications Server 2005」の後継であり(MicrosoftはLiveという呼称をオンラインおよびホスト・サービス用に利用している),目覚しいアップグレードである。これは既存のExchange環境にインストールするように設計され,様々な機能を追加できる。たとえば,VoIPベースのソリューションが付いた従来のPBXに置き換わる機能などもあり,Skypeのようなクライアント・ベースのソリューションより管理が容易だ。

 Office Communications Server 2007では,管理されたIMクライアントである「Communicator 2007」を利用できる。これは,複数ユーザー間でのテキスト,音声,動画チャットを可能にし,ほとんどの一般的なIMネットワークと相互運用できる。おそらく最も重要なのは,Communications Server 2007によって,エンドユーザーの仕事が革新的に改善される点である。Communications Server 2007があれば,ある社員が他の社員の場所を確認したり,連絡を取ろうとしたりする場合にその社員の状況をシームレスに確認したりできるようになる。GPSのような機能にはまだ至っていないが,そのうちにそうなるだろうという予感はある。

 このような短い記事でCommunications Server 2007の良し悪しを吟味できないことは明らかだが,少なくとも,概略だけでもお分かりいただければ幸いである。Microsoftは,2007年第2四半期に最終版の出荷を予定している。メッセージング・ソリューションをExchangeと決めているなら,当然これは次に検討すべき製品であろう。今後,これらの製品についての情報はいろいろと耳にすることが多くなるはずである。