10人ほどのチームの“紅一点”ですが、上司にひいきされているようで困惑しています。私がミスしても「誰にでも失敗はある。次はしっかりやれ」と言うだけでしからないし、残業していると「あまり無理するな」と早く帰宅させようとします。私は他の同僚と一緒にがんばりたいのに…。
(コンピュータ・メーカー勤務、プログラマ/女性・25歳)

A: 仕事への意欲を 言葉と態度で示せ

 10人中7人が女性というチームを率いたことがあります。それだけ女性がいると,タイプも様々です。何も言わなくてもバリバリ仕事をする人,きっちり指導をすればちゃんと仕事をする人,手取り足取り指導をしてもなかなかうまくできない人…。最も頭を痛めたのは,「甘えタイプ」の部下でした。うまくいかない時や行き詰まった時,周りの手助けを期待するタイプです。

 甘えタイプの困ったところは,つらいこと,いやなことがあると,すぐにギブアップしてしまうことです。ひどい時には,会社を辞めてしまうこともあります。チームを率いるマネジャーにとって,これは大打撃です。突然,戦力が減るのはプロジェクトにとって大きな痛手ですし,直属の部下が仕事上の不満を理由に辞めたとあっては,管理能力を問われかねません。マネジャーはそうしたトラブルを避けるために,甘えタイプの部下に対してはつい,機嫌を伺って甘やかしがちなのです。

 あなたが甘えタイプと言っているわけではありません。「皆と一緒にがんばりたい」と言うのですから,むしろ違うと思います。

 ただ,周りがそう思い込んでいる可能性があります。そうした思い込みを修正させるには,自分が甘えタイプではないことをはっきり上司や同僚に伝えるしかありません。「私はエンジニアとして一流になりたい。そのために,プロとして男性と同等に扱ってほしい」と宣言し,それを態度で示してください。

 さらに,たとえ冗談でも「早くお金持ちと結婚して幸せになりたい」,「この仕事は子供ができるまで」といったメッセージを発信しないこと。男連中は単純ですから,こうした発言をする女性を「甘えタイプ」と勝手に決め付けるものなのです。

奥井 規晶(おくい のりあき)
1959年神奈川県出身。84年に早稲田大学理工学部大学院修士課程修了。日本IBMでSEとして活躍後,ボストン コンサルティング グループに入社。戦略系コンサルタントとして事業/情報戦略,システム再構築,SCMなどのプロジェクトを多数経験。その後,アーサー・D・リトル(ジャパン)のディレクターおよび関連会社のシー・クエンシャル代表取締役を経て,2001年にベリングポイント(元KPMGコンサルティング)代表取締役に就任。2004年4月に独立。現在,インターフュージョンコンサルティング代表取締役会長。経済同友会会員,日本キューバ・シガー教育協会専務理事。