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負けグセをつけないための工夫が二つある。一つは、中長期計画の立案・実行だ。企業が全社レベルで中長期で実現したい計画を持つなら、最前線の営業現場が中長期計画を持っていてもおかしくないはず。冨永は、率いる第2営業グループがどのような内訳で売り上げを計上するか、数年単位の青写真を常に描く。そしてその計画を年次、月次、週次とブレークダウンして、進ちょくを緻密に管理する。
結果そのものは、必ずしも最初の予定通りにならなくてもいい。「重要なのは目標を立て、それを実行しようとする行為。目標を立てて動くのとそうしないのとでは、達成率が大きく違う」と言う。冨永はこれを、身を持って実証している。
もう一つは、活動の焦点を絞ることだ。それを冨永は「何でもかんでも食べないこと」と表現した。売り上げのためならどんな案件にでも飛び付くという姿勢は、かえって業務効率を下げるという。ひと口に製造業といっても、機械系の製造業もあれば、化学系の製造業もある。範囲は広く、すべての分野に精通することは困難だ。冨永は「専門を定めて強みをさらに強化し続け、その分野で一等賞を取り続けることの方が重要。この世界は、金メダルでないと意味がありません。銀メダル以下はすべて失注ということですから」と話す。
基幹業務システムの商談では、経営トップに会うことが必須だ。彼らの言葉が難なく聴けるよう、企業会計などの教育を、若手に混じって繰り返し受講するという努力家の一面も持ち合わせている。
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