トライアルカンパニーの西川 晋二・CIO 情報システム責任者

 九州を中心にスーパーセンターを運営するトライアルカンパニー(福岡市)は米ウォルマート・ストアーズを研究している企業であり、その結果導かれた結論として、情報システムの自社開発に強くこだわっている。トライアルは新興の小売店ながら、グループ全体で既に750人ものシステム要員を抱えるほど、独自のシステムを重視する。

 こうした大所帯の情報システム部隊を率いるのが、西川晋二CIO情報システム責任者である。システム要員の大部分は中国拠点にいるため、西川CIOは2カ月に1度は中国拠点を訪れて、2週間ほど滞在してシステム開発の方針を現地社員に伝えている。ほかにも韓国や東京、九州にも拠点があり、忙しくアジアを飛び回っている。

 急成長を遂げているトライアルは店舗網と売り上げの拡大に合わせて、システムを日々拡張・更新している。2007年中には、現在稼働中の複数のシステムを統合した新しい基幹システムを構築する計画もある。西川CIOは「当社の成長速度に合わせてシステムを柔軟に刷新していくことが最優先であり、そのためにもシステムの自社開発を続けていく」と主張する。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・中長期の戦略や経営戦略を理解し、システムについては当社の戦略の要として、どうあるべきかを考えて話し合っています。当社は、「米ウォルマート・ストアーズの経営に習え」という戦略を持っており、特にシステムと物流は戦略の要であって「自前」で苦労して構築する方針を打ち立てています。そうした戦略的な投資に対し、十分なリターンを返せなければ、存在意義はないとのスタンスを保っています。取り組み内容や優先順位を判断して、経営トップの承認を得る必要があります。つまり、「リターンを生む責務を伴う投資」との考え方になります。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・ソリューション(問題を解決すること、効果を上げること)を提供して初めて、利用企業に貢献できるのだということを、真剣に認識していない場面に遭遇することがあります。自分自身、または当社の情報システム部門への自問としても強く思うことでもあります

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経ビジネス

◆最近読んだお勧めの本
・小島眞著の『インドのソフトウェア産業』(東洋経済新報社)
 日本のIT産業の将来に危機感を感じます

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・ITproなど、日経BP社の情報サイト

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・2年に1度程度の割合で、米国の流通関連の展示会に参加
・ビジネスインテリジェンス関連のセミナー
・最近は、J-SOX法関連のセミナー

◆ストレス解消法
・睡眠で必ず解消します