ポイント

●ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)やメールサーバー側でのスパムメール対策だけで完全にスパムメールを排除することはできない。最終的には,ユーザーが受け取ったメールを振り分ける(フィルタリングする)必要がある
●メールを振り分けるためには,ISPが提供しているサービスや,アンチウイルス・ソフトに付属する機能,メーラーの振り分け機能などを利用する
●将来的にはS/MIMEなどを利用して「信頼のできる送信元のメールしか受信しない」としてしまうのも,スパムメール対策の一つとなる

 前回の「スパムメール(2) --- プロバイダの対策:OP25B」で勉強したように,ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)やメールサーバーは,スパムメール送信を阻止するためにさまざまな工夫をしています。しかし,それで完全にスパムメールを排除できるわけではありません。これらの工夫を潜り抜けてスパムメールがユーザーに届くこともあります。そうしたスパムメールは,受け取った側すなわちユーザーが対処する必要があります。今回は,そうしたユーザー側のスパムメール対策を確認していきます。

ユーザー側では振り分け機能を利用する

 ユーザーが本来は読みたくないメールを大量に受信することは,とても不経済です。ネットワーク・リソースをムダに使うことはもちろん,ユーザーは必要なメールと不要なメールを振り分けるために無駄な時間を要します。スパムメールの数がさほど多くなければ手作業で一つひとつ確認してから消しても問題はありませんが,大量に届く場合は何らかの対策が必要となってきます。

 ユーザー側での一般的なスパムメール対策とは,あらかじめ登録していた送信者名や件名などを基に,受信メールを指定したフォルダに振り分けたり削除することです。スパムメールの受信を防ぐことはできませんが,同じ送信者名や件名,あるいは同じメールアドレスから送られて来るスパムメールを自動的に別フォルダに移動(あるいは削除)してしまうことで,ユーザーの負担を減らすことができます。

 メールを振り分けるには,主に以下の方法があります。

    1. ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)で提供するサービスの利用
    2. アンチウイルス・ソフトに付属する機能の利用
    3. メーラーのフィルタリング機能の利用

※メールサービスにはWebメールなどもありますが,ここではメーラーを利用している場合を考えます。また,ISPで提供するメール振り分けサービスはユーザー自身が設定するサービスになりますので,本連載ではユーザー側での対策に含めています

ISPのメール・フィルタリング・サービス

 それでは,それぞれの対策方法を見ていきましょう。まずはISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が提供しているサービスを利用する方法です。

 ISPでのサービス内容は,プロバイダにより異なります。例えば,@niftyでは,会員向けに「スパムメールブロック」というサービスを提供しています(図1)。

図1●ISPが提供するユーザー向けスパムメール対策の例
図1●ISPが提供するユーザー向けスパムメール対策の例
画面は@niftyのスパムメールブロックサービス [画像のクリックで拡大表示]

 ISPでのフィルタリング・サービスを利用すると,自分のメールボックスに届く前にスパムメールを廃棄できるため,メールサーバーとユーザー端末間の余計なトラフィックを減らすことができます。