米Microsoftが3月にリリースした「SQL Server 2005 Express Service Pack 2」は,Windows Vistaに正式に対応したバージョンである。このSQL Server Express SP2がほんとうにWindows Vistaで問題なく動作するのか検証してみた。

 まず最初に行うのは,SQL Server Express SP2のダウンロードである。従来と同様に,SQL Server Expressには2つのラインアップが用意されている。「SQL Server 2005 Express Edition SP2」と,管理ツールが付属した「SQL Server 2005 Express Edition with Advanced Services SP2」である。

 また標準版のSQL Server Expressにも2つ種類があった。1つは55Mバイトの「sqlexpr.exe」(日本語版の場合は「SQLEXPR_JPN.EXE」でファイル・サイズは60.8Mバイト),もう1つは36Mバイトの「sqlexpr32.exe」(日本語版の場合は「SQLEXPR32_JPN.EXE」でファイル・サイズは41.7Mバイト)である。この2つのファイルの主な違いは,sqlexpr.exeは32ビットのx86システムと64ビットのx64システムで動作するが,sqlexpr32.exeは32ビットのシステムでのみ動作するという点でだ。

 筆者はアップデートされた管理ツール「SQL Server Management Studio Express(SSMSE)」が必要だったので,ファイル・サイズが256Mバイト(日本語版は278Mバイト)のSQL Server 2005 Express Edition with Advanced Services SP2をダウンロードした。

 sqlexpr_adv.exeを実行すると,標準のWindows Vistaセキュリティ・ダイアログ・ボックスが表示される。「実行」をクリックするとファイルが展開され,Windows Vistaのユーザー・アカウント制御(UAC)ダイアログ・ボックスが表示され,Microsoft SQL Serverプログラムを実行する権限があるかどうかを尋ねられる。

 「続行」をクリックすると標準のセットアップ・プログラムが起動し,最初にEULA(使用許諾契約書)が表示される。「使用許諾契約書に同意する」のチェック・ボックスを選択し,「次へ」をクリックすると,「必要なコンポーネントのインストール」というダイアログ・ボックスが開く。「インストール」をクリックすると,SQL Native ClientとMicrosoft SQL Server 2005のセットアップ・サポート・ファイルのインストールが開始される。

 必要なコンポーネントのインストールが終了したところで,「次へ」をクリックするとシステム構成チェックが短時間実行され,「Microsoft SQL Server 2005セットアップ」という画面が開く。ここで再び「次へ」をクリックすると,「システム構成チェック」ダイアログ・ボックスが開く。

 SQL Server Express SP1を一度同じマシンにインストールしていたので驚きはしなかったが,すべての構成チェック項目が選択されている。「次へ」をクリックすると,「登録情報」ダイアログ・ボックスが表示され,再び「次へ」をクリックすると「機能の選択」ダイアログ・ボックスが表示される。

 デフォルトでは,データベース・サービスのみがインストール対象として選択されている。追加で各クライアント・コンポーネントを選択し,「次へ」をクリックする。インスタンス名の入力が要求されるので,SQL Expressのデフォルト名をそのまま使用し,「次へ」をクリックする。次に表示される「既存のコンポーネント」ダイアログ・ボックスでは,たとえ削除済みであっても以前の設定が検出される。「データベース・サービス」をアップグレード対象として選択し,再び「次へ」を選択すると「ログイン情報のアップグレード」ダイアログ・ボックスが表示される。このダイアログ・ボックスではWindows認証モードを選択して「次へ」をクリックする。ここで開くインストール画面では,ユーザー・インスタンスを有効にするかどうかを尋ねられる。ボックスをチェックして有効にし,「次へ」をクリックする。

 最後に「エラーと使用状況レポートの設定」ダイアログ・ボックスが開く。Microsoftに配慮して,エラーレポートと機能の使用状況レポートを送信するように設定し,「次へ」を選択する(もちろん選択しなくてもよい)。これでセットアップ・プロセスは完了である。筆者の環境ではおかしなことに,SQL Express関連のタスクを終了するように要求するエラー・メッセージが表示された。タスク・マネージャを確認したところ,そのようなタスクは動作していなかったので「無視」を選択し,インストールを続行する。インストールはスムーズに終了した。

まだ完全ではないSQL Server Express SP2

 SQL Server Expressサービスは起動し,問題なく動作したが,SP1でもサービスは問題なく動作したのでこれは特に驚くようなものではない。SP1ではSSMSEおよびいくつかの構成用プログラムを使用したときに問題が発生した。しかしSP2では,SP1で苦しめられた権限およびセキュリティ関連の問題は解決していた。

 「SQL Server Configuration Manager(SQL Server構成マネージャ)」や「SQL Server 2005 Surface Area Configuration(機能のセキュリティ構成)ツール」の起動時にユーザー・アカウント制御ダイアログが表示されるものの,一度起動させてしまえば,ほとんど想定通りに動作する。ただし,データベースに接続しようとすると,データベース・モデルへのアクセス権を持たないことを示すセキュリティ・エラーが表示されてしまう。私はこのエラーを「管理者として実行」を選択することで回避した。手短に言えば,SQL Server Express SP2のWindows Vista上での動作は大幅に改善されたが,まだ完全ではない。