読者の皆さんは,SQL Serverの専門家による技術的なアドバイスを必要とするときに,どうするだろうか。「MSDN」や「TechNet」,「SQL Server Magazine」といった専門誌を見たり,マイクロソフトが運営するニュースグループやMSDNフォーラム,自分が参加しているユーザー会,技術カンファレンスなどを当たったりするだろう。このような場でアドバイスをくれる相手がMVP(Microsoft Most Valued Professional)である可能性は高い。

 マイクロソフトは毎年,特定のマイクロソフトのテクノロジに精通し,技術コミュニティに対する貢献が顕著であると認めた専門家を少人数選抜して,MVPとしてアワードを授与している。この専門家たちは,マイクロソフトのサポート・インフラストラクチャの隙間を埋める役割を果たしている。読者の質問に対して,本や記事,ニュースグループへの投稿,イベントでのプレゼンテーションなどを通じて回答する非常に頼りがいのある専門家も,実はMVPだったということは少なくない。

 マイクロソフトは3月,数千人のMVPを世界中から招待して,シアトルで「MVPサミット」を開催した。これは1年から1年半の間隔で開催されているイベントだ。このMVPサミットの模様を詳細にレポートしたいところだが,その大部分はトップ・シークレットとされているため,それは断念せざるをえない。ただここで言えるのは,Bill Gates氏が今でも毎年行っている基調演説で,彼がMVPをどれだけ重要視しているかをアピールしていたことだ。これだけ多くの自称コンピュータ・オタクが一同に会してお互いに交流を深め,興味のある分野で少しでも知識を深めようとする様子を見るのは,非常に興味深い。

 では,なぜMVPサミットが「トップ・シークレット」なのだろうか。発表された内容のほとんどは,今後リリースされる製品や将来導入される機能についてであり,製品に関する率直なフィードバックを求めるものだ。このイベントを非公開にしてすべての情報の秘密を保つことによって,マイクロソフトは次のバージョンに導入するかどうかまだ決まっていない機能について自由に話せて,同時にマイクロソフトの最大のサポーターに情報を伝えられる。MVPは「インサイダー」としての立場を生かして,自分の雇用者の代理として,あるいは技術コミュニティ内でのリーダーとして,有益なアドバイスを提供したりできる。

 MVPについて個人的な理解を深めるために,サミットでBen Miller氏をつかまえて,MVPをどう思っているか質問してみた。Miller氏はSQL ServeやIIS,XMLの各分野を担当するMVPリード(マイクロソフトのMVP担当リーダー)であり,MVPが直接マイクロソフトの製品チームやその他のリソースに連絡できるようにするための窓口になっている。Miller氏の答えはこうだ。「MVPは,自分が専門とするテクノロジに信じられないほどの情熱を持っているだけでなく,他の人々をサポートすることにも同じぐらい熱心になれる人物だ。すべて技術コミュニティを構築し,サポートする行動をしている」

 しかし,なぜMVPはそれほどコミュニティ内で積極的に行動するのだろうか。この質問に対する答えはMiller氏の説明の中にある。「情熱」だ。MVPは,この情熱に駆り立てられて,ユーザー会を作り,ブログに投稿し,ニュースグループやMSDNフォーラムで技術的な質問に回答し,会議で発表し,技術的記事を書く。そして,誰の目にも明らかなほどテクノロジへの情熱を見せる人々に対して,マイクロソフトはMVP受賞者という地位を与える。

 近年,SQL Serverを専門とするMVPが増えてきたが,これはこの製品の成長が著しいこと,特にBI(ビジネス・インテリジェンス)機能が追加され,成熟してきたことが主な理由だ。当然MVPの数はさらに増加して,SQL Serverとそれを補完するテクノロジをすべてカバーし,この技術コミュニティをサポートすることになる。MVPの情報は,MicrosoftのWebサイト「マイクロソフトMVPプログラム」で閲覧できる。「自分を助けてくれる」SQL Server MVPを探している場合は,MVPサイト内の「Windows Server System - SQL Server」というWebページを参照してほしい。

 MVPコミュニティに簡単にアクセスできることに驚くかもしれない。今度技術的なサポートが必要になったら,ユーザー会やニュースグループ,フォーラムのような,普段MVPたちが集まっている場所をすべて見て回ることから始めよう。インターネットで検索して,役立つ情報が書かれたブログの投稿や記事を探してみよう。検索結果の中にMVPからのリソースが含まれていたら,そこがマイクロソフトに認められた専門家が交流する場所だ。